ダイコンの品種・種まき・土作り・植えつけ・土寄せ・肥料・収穫・病気・害虫対策を実写真でわかりやすく解説!
基本情報
根菜類の代表ダイコンは、ビタミンC、カリウムや消化を助け胃腸の働きを整えるジアスターゼを含み、栄養的に優れた野菜で、煮物や漬物、汁の実、サラダなど幅広い料理に使われている。
なお、ダイコンの葉は根よりも栄養価が高く、カロテン、ビタミンC、食物繊維などが豊富。
「大根十耕」と言うように、土を深く、そして丹念に耕すことが、良いダイコンを作るコツ。
科目 | 好pH | 連作障害 | 発芽適温 | 生育適温 | 発芽日数 | 発芽光性 | 日照 |
アブラナ科 | 5.5〜6.5 | 強い | 25℃ | 20℃ | 3~5日 | 嫌光性 | 陽性 |
コンパニオンプランツ
一緒に栽培することで互いに良い影響を与え合う植物の組み合わせをコンパニオンプランツという。
エダマメ
エダマメの根につく共生菌が作り出すリン酸や微量ミネラル成分をダイコンが吸収して生育が良くなる。
また、お互いに発生する害虫に対する益虫(害虫を食べる虫)のすみかができるうえ、異なる科を植えることで害虫が寄りにくくなる。
ニンジン
大根とニンジンはともに深く根を張るので、土の中の空気の通りが良くなり、互いの根が伸びやすくなる。その結果、大根もニンジンもどちらもよく育つ。
大根はアブラナ科、ニンジンはセリ科と科が異なるので、害虫も別種が寄ってくる。
大根はモンシロチョウ・コナガの幼虫、アブラムシが付きやすく、ニンジンはキアゲハの幼虫に葉を食害される。
別種の害虫は、互いを避け合うので、大根にもニンジンにも害虫が寄り付かなくなる。
ナス
大根とナスの組み合わせは、空間を利用して栽培でき、互いの生育が促進する効果ある。
大根は肥料が少なくてもよく育つので、ナスの近くで栽培しても互いに養分を奪い合うことはない。
マリーゴールド
その独特の香りでアブラナ科に付きやすいモンシロチョウ、コナガ、ダイコンサルハムシなどの害虫を忌避する。
大根はネグサレセンチュウの被害を受けやすく、大根に黒い斑点を作るが、マリーゴールドが根っこにネグサレセンチュウを引き寄せ死滅させる。
ルッコラ・ラディッシュ
生育が良くなる&害虫を退避させる
ナス・サトイモ
相互に有益な効果
シュンギク
害虫を退避させる
相性が悪い野菜
葉ネギ・長ネギ
ネギ類が出す成分をダイコンが嫌い、まっすぐに伸びるはずの根がネギ類を避けて少しずつ曲がってしまう。
ただし、ダイコンがかかる病気である「萎黄病」の病原菌を遠ざけるとして、ネギ類がコンパニオンプランツとして紹介されている場合がある。
地中根を広げて増えるハーブ類
生長を抑制する
栽培時期
地域や品種により異なるので参考まで。(さいたま市想定)
基本的な作型は、冷涼な気候を利用した秋冬採り栽培。
月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 12月 | ||||||||||||||
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春まき | 種まき~ | ~種まき | 収穫~ | ~収穫 | |||||||||||||||||
夏まき | 種まき~ | ~種まき | 収穫~ | ~収穫 |
品種
青首(あおくび)大根
青首宮重(あうくびみやしげ)群と言われるもので、葉の付け根辺りが日に辺り青くなっているもの。
一般に市場に出ているものの大半がこの種類。
生産量は大根全体の9割以上。一年を通して出荷されている。
三浦(みうら)大根
神奈川県の三浦で生まれた品種で、真ん中が太くなっている白首大根。
肉質はきめ細かく、生では辛味が強いのですが、荷崩れしにくく、煮物にすると甘みが出るため風呂吹きなどに最適。
亀戸大根
根が30センチ近くと短く、先がくさび状に尖っているのが特徴で、明治の頃はさかんに栽培されており、「おかめ大根」とか「お多福大根」と呼ばれていた。
練馬(ねりま)大根
青首大根に対して、練馬を中心に栽培されていた品種で、首まで白いもの。関東のたくあんと言えば、練馬大根。
聖護院(しょうごいん)大根
京都で生まれた丸い大根で、京都の伝統野菜。
今では京都南部の淀地区を中心に栽培されるようになった事から「淀丸大根」や「淀大根」とも呼ばれている。
桜島(さくらじま)大根
ギネスに登録された世界一大きな大根。
200年以上昔から鹿児島県の桜島で栽培されてきた歴史のある伝統野菜。
桜島本島で栽培収穫されたものを「ほんじま」と呼び、その他の地域で採れた物は「いなかじま」と区別され、味や品質に違いがある。
源助(げんすけ)大根
金沢市打木町で、愛知県の源助総太」と在来種の打木大根の自然交雑したもの。
肉質は緻密で柔らかく、生のまま食べるとシャキットした歯ざわりが心地よくほんのり甘い。
守口(もりぐち)大根
大阪の守口で生まれた大根。だが、名古屋・岐阜の特産物。
特徴はその形で、太さ2~3cmで、長さが2~3mにもなる。
異様に細長い大根で、繊維質が多く辛味が強いので、もっぱら漬物用。
守口漬けは愛知の名産品。
桃山だいこん
京都の桃山で栽培されていた品種。
形は根が短くずんぐりしていて、長さ約25センチ。
ねずみ大根とも呼ばれ漬け物専用品種。
親田辛味大根
長野県下條村の特産品。
下條村内の親田地区でしか栽培できないといわれている「幻の大根」。
白い物と紫色の物があり、白い物は「ごくらくがらみ」紫の物は「とやねがらみ」と呼ばれている。
主におろしとして使われ、薬味として蕎麦や焼き魚、餅、焼肉、天ぷら等に添えられる。
中でも蕎麦との相性は抜群。
今回はこのダイコン
昨年カインズで買った種「青首大根 夏祭」¥378-
- 数量:7ml
- 生産地:ニュージーランド
- 発芽率:85%以上
- 有効期限:2023年2月
- 処理:チウラム種子粉衣1回処理
- 販売:トーホク交配
- まく時期:5月中旬〜6中旬、8月中旬~9月中旬
収穫時期:7月上旬~8月下旬、10月上旬~12月上旬 - 発芽適温:15~30℃
- 生育適温:15~30℃
- 収穫日数:約55日

畑の準備
種まきの2週間以上前までに苦土石灰2~3握り(100~150g)とよく腐熟した堆肥約2kgを全面に散布して深く(30~35cm)耕す。
1週間前に化成肥料3握り(約150g)を施して再度耕す。
ダイコンは肥料分の少ない荒地でもよく育つ。
多肥にせず、栽培期間を通じて少しずつ肥料を効かせるのがポイント。
岐根や奇形根の原因になる未熟な堆肥は使わない。また、土のゴロはよく取り除く。
種まき
1つの穴(ビールびんなどの底を押しつけて深さ1.5cmほどにした穴)に5~6粒をばらまきし、1cm程度の土をかぶせたら、鎮圧して種と土を密着させ、たっぷりと水をやる。
株間は25~30cm、畝幅60~70cm。
アブラナ科のダイコンは害虫の被害も受けやすいため、種をまいたらすぐに防虫ネットを掛ける。
特に11月半ばまでは、防虫ネットの中で育てる。
水やりは、朝に与えた水が夕方には乾くくらい。水のやりすぎは徒長の原因に。
間引き
適期にまけば2~3日で発芽。
1回目の間引きは子葉が完全に開いた時、形のよいものを残して3本立ちにする。
子葉の開いている方向が畝と平行になっているものを残し、畝と直角になっているものを間引く。
これは、子葉と同じ向きに養分を吸収する側根が生えているので、畝方向のほうが根群が伸びやすいから。
2回目は本葉2~3枚の時に生育が中くらいのものを残して2本立ちにする。
ちょっと早すぎた。本葉2枚で1本立ちにしてしまった^^

3回目は本葉6~7枚の時、元気のよいものを残して1本立ちにする。
子葉の形が根の形と同調するので、よく観察して形の悪いものを間引く。
尚、間引く時はハサミを利用して、地際で株を切る。引き抜くと、残した株の根を痛めることがある。
追肥
追肥は2回目と3回目の間引き後、株のまわりに1平方メートル当たり化成肥料(N:P:K=8:8:8)1握り(約50g)をばらまき、軽く土と混ぜながら、株元に土寄せする。
間引き後は株が揺れやすくなっているので土寄せは丁寧に。
また、肥料が株にかからないようにする。
その後も、除草をかねてさらに2〜3回、中耕と土寄せをする。
中耕をすることで土中の空気や水の通りが良くなって根が発達し、土寄せをすることで曲がったりするのを防ぐ効果がある。
病虫害
病害で最も被害の大きいのはウイルス病と軟腐病。
ウイルスを防ぐにはアブラムシを防除する。
アブラムシを防ぐには、種まき時に浸透性殺虫剤、生育中は殺虫剤を散布。
また防虫ネットなどの被覆、あるいはシルバーフィルムでマルチして防ぐ。
地際部から腐って悪臭を放つ軟腐病が発生したら抜いて処分するしかない。
害虫ではアオムシ、ヨトウムシ、キスジノミハムシなどに注意。
薬剤散布したら間引き菜は食用にはしない。
収穫
秋ダイコンは種まき後60~90日、夏ダイコンは50~60日で収穫期。
収穫時期が近くなると、葉が立ち上がり、立ち上がった葉の先端が垂れてきたら、収穫適期。
または、外側の葉が垂れ、中心部の葉が横に開いて平らに見えるようになった時。
最もポピュラーな、首の部分が緑化する青首品種は、収穫適期になると地上に大きく飛び出してくるので、収穫時期もわかりやすい。
収穫が遅れると根にすが入り、食味が悪くなる。
特に春ダイコン、夏ダイコンはす入りが早いので、注意して早めに収穫する。
収穫時、美味しいダイコンかわかる!
収穫したダイコンで、小さなくぼみが縦に並んでいて、そこから細く短い根(側根)が等間隔に並んでいるものは、生育が順調で美味しいダイコンの証。
有機肥料でゆっくり育ったダイコンは等間隔に1列に並ぶ。
逆に、側根の間隔が狭い/広い部分があるものは、その間の生育条件が悪かった証拠。
冬の保存方法
霜が降り、葉が枯れる頃になっても収穫せずに畑におくと、土から出ている首の部分が凍って傷む。
冬の間も畑に長く置きたい場合は、ダイコンの首が土にすべて埋まるように土寄せをしておく。
土の中は適度な湿度と温度が保たれるので、春まで保存することができるようになる。
よくあるトラブル
又根・岐根
ダイコンが二股などに分かれたもの。
主根の成長点が、障害物や未熟堆肥、高濃度の肥料に接触した場合に起こる。
土作りの際には、ていねいな耕起作業で石やゴミ、草や野菜の残渣などの障害物を取り除き、堆肥は完熟のものを施用する。
また、センチュウなどの土壌害虫の食害で枯死、切断された場合にも起こるため、その場合は土壌消毒をする。
曲がり
ダイコンが曲がっているのは、肥料が多く葉が旺盛に茂って、その重さで倒れてくるのが原因。
す入り
切ってみると中がスカスカになっているもの。
生育後半に根部への同化養分の供給が追いつかず、細胞や組織が老化して隙間が作られる現象。
原因としては、生育後半の気温が高かったり、収穫遅れ(適期を過ぎてからの収穫)など。
裂根
ダイコンに縦にひび割れが入る現象。
肩の部分が裂けている場合は、乾燥が続いた後に降雨で多湿になった場合に発生。
縦に長いひびが入っている場合は、多湿気味だった土壌が急に乾燥したような場合に発生。
いづれも根の中側と外側との成長バランスが崩れたことが原因。
株間をとりすぎた場合に起こりやすくなるので、株間は広げすぎないようにする。
網いり
表皮の中側にある導管が網の目状に走っている部分、ここが固い繊維状になったもの。
原因は、播種後30日以内の肥大期に、高温と乾燥が続いた場合に発生。
特に乾燥には気をつける。
空洞症
青首系ダイコンに発生しやすく、直根下部の中心に白または褐色の空隙ができる。
温度や土壌水分などの環境条件を極端に変化させないことが大切。
ホウ素欠乏症
ダイコンはホウ素を多く必要とするので、欠乏すると根の表面に亀裂が生じ褐変する。
発生する畑には、ホウ素など微量要素を含む堆肥を施す。