ソラマメの栽培方法、害虫・病気対策!実写真でわかりやすく!

ソラマメの品種・種まき・土作り・植えつけ・土寄せ・肥料・収穫・害虫対策を実写真でわかりやすく解説!

基本情報

ソラマメは他のマメ類とは異なり、さやが空に向かってつくところからこの名になった。

生育適温は15~20℃で、冷涼な気候を好む。
耐暑性はあまりなく、25℃以上では生育が悪くなる。
幼苗期は耐寒性があり、マイナス5℃でも耐えるが、春先に伸長を始めると霜害を受けやすい。

栄養価・健康効果は高く、タンパク質、カリウム・マグネシウム・リン・鉄分などのミネラル分、ビタミンB1・B2、食物繊維を豊富に含む。
ビタミンB2は脂質代謝に作用するので、油っぽいものを食べた時に取るとよい。

夏に塩ゆでにしたソラマメを食べる習慣は、ビタミンB1、ビタミンB2やカリウムを摂取することで糖質をうまくエネルギーに変え、暑い夏を乗り切る日本人の知恵かもしれません。

ただし、ソラマメは空気にふれると急速に味が落ちるので、調理する直前にサヤから出すようにする。
黒い筋がはっきりした完熟豆は、筋と反対側に切り目を入れると、ゆで上がりもよく皮もむきやすくなる。

科目 好pH 連作障害 発芽適温 生育適温 発芽日数 発芽光性 日照
マメ科 6.0〜6.5 4〜5 20~25℃ 16~20℃ 7~12 なし 陽性

コンパニオンプランツ

一緒に栽培することで互いに良い影響を与え合う植物の組み合わせをコンパニオンプランツという。

春どりキャベツ

キャベツが冬の寒風を防いでソラマメが枯れるのを防ぐ。

ソラマメの根っこに共生する根粒菌によって土が肥沃になり、翌春のキャベツの生育がよくなる。

ソラマメはアブラムシがつきやすいが、テントウムシなどの天敵が増えることにより、キャベツに付きやすいアブラムシなどの害虫被害が軽減する。

キャベツの代わりに他のアブラナ科の野菜を利用することもできる。
ブロッコリー、カリフラワー、ケールなど

タマネギ

タマネギとソラマメは、11月頃に植え付けて、翌年の5~6月に収穫する冬越しタイプの野菜。

同じウネを使うことで効率的に育てられる。

タマネギとマメ科の植物は、冬の間 互いに根っこを張るため、霜柱が立ちにくくなり、寒さによるダメージを受けにくくなる。

ネギ属のタマネギは 根っこに共生する菌が抗生物質を出し、ソラマメがかかりやすい立枯病などの病気の発症を減らす。

春になり気温が上がるとソラマメの茎の先端にソラマメヒゲナガアブラムシや、マメアブラムシなどが寄り付くが、テントウムシやアブラバチ、ヒラタアブなどの天敵も増え、タマネギの害虫を防ぐおとり作物(バンカープランツ)の役割を果たす。

さらに暖かくなるとソラマメの根が広がり、新しい根に付く根粒菌が活発に窒素固定を行い、周囲の土を肥沃にして、タマネギの玉を大きくする。

タマネギは ソラマメの日陰でもよく育ち、マルチの代わりに株元の保湿になる。

ムギ

アブラムシはムギに集まりやすく、ソラマメより先にムギを吸汁させる。

一度 吸汁したアブラムシは”無毒化”し、その後ソラマメにアブラムシが付いても病気感染しない。

相性が悪い野菜

ネギ類(タマネギを除く)~生育が悪くなる。

栽培時期

地域や品種により異なるので参考まで。(さいたま市想定)

10月 11月 翌年5月 6月
種まき~種まき 植えつけ~植えつけ 収穫~ ~収穫

品種

ソラマメの豆の大きさでは、1cm程度の小粒種から、3cm以上になる大粒種まであるが、小粒種は早生で、豆が大きくなると晩生になる。
1サヤ粒数では1~3粒が普通で、5~7粒以上の実が入る長莢(サヤ)種もある。
さらに、実の色にも、濃緑色、淡緑色、赤褐色などがある。

現在、日本で用いられている品種は豆の色が緑色で、比較的大粒種の「一寸ソラマメ」に属する品種が中心。

一寸ソラマメ(大粒種)

仁徳一寸
莢色や豆色が鮮やかな濃緑色で、ゆで上がりの色が美しく、料理の彩りに重宝する。

三連
ボリュームに優れた莢が最大の特長で、1莢に豆が3粒入った大莢が収穫できる。
生育が旺盛で栽培もしやすい。

陵西一寸、ハウス陵西、唐比の春

3粒莢以上の商品価値の高い莢の発生比率が高く、収量が多い。
3本仕立て1条誘引の整枝においては、1茎当たり12莢着莢させ、その上部に4葉残して摘芯すると品質の高い莢を多く収穫することができる。

長莢種

1莢に中粒の豆が6~7粒入る細長い莢を持つタイプ。
イタリアではワインのお供として、未熟豆が生のまま食されている。

福ならび
草丈が低くて栽培容易で、初期からの着莢に優れる。
また、未熟豆は生食も可能でサラダに入れて豊かな風味を楽しめる。

2023年はこのソラマメ

ダイソーで買った種「一寸そら豆(陵西一寸)」¥55-

 

栽培のポイント

  • 連作は避け、マメ科の作物を植えていないところに定植する
  • 開花後は寒さに弱いので、適期の種まきを行う
  • ウイルス病にかかりやすいので、アブラムシ防除を心掛ける

種まき

タネまきの適期は10月上旬。
早すぎると大きくなりすぎて凍害を受けやすくなり、遅すぎると成長が遅くなり、実がなるまで時間がかかる。

タネは畑に直接まくこともできるが、タネが腐ることが多かったり、ソラマメは豆類の中でも特に鳥害が多いため育苗して植え付ける方法が直まきよりも確実。

育苗(6~9㎝ポット)、直まきいずれの場合も、種の黒い筋のある部分(「おはぐろ」といいます)を斜め下方に向けて土に押し込み、種の頭部がわずかに見えるくらいに浅まきする。

水やり後、土が動いたら土を薄くかけて落ち着かせ、新聞紙や藁をかけておく。
7~12日で発芽する。

 

育苗した場合、大きくなってから定植すると活着が悪くなるので、定植は本葉2~3枚(育苗日数15~20日程度)の頃。

畑の準備

連作障害が出やすいので、3~4年は同じ場所でのマメ科野菜の栽培は休む。

また、酸性土壌に特に弱いので、種まきの2週間以上前に必ず苦土石灰を3握り(150/1㎡)を施して土壌酸度を中和しておく。

1週間前に堆肥は約2kg/1㎡、元肥の化成肥料(N:P:K=8:8:8)は1握り(50g/1㎡)を施しよく耕す。

種まきまでに畝をつくり、シルバーマルチ、アルミ蒸着テープを張るなど、アブラムシの飛来を防ぐことを検討する。

定植・管理

本葉2~3枚のころ、株間40〜50cmで植えつける。

越冬する時の本葉数が5枚以上になると耐寒性が弱くなり、寒害を受けやすくなります。

霜が直接当たると傷みやすいので、1月から2月にかけての厳冬期には、トンネルに不織布や寒冷紗をかける。
また、株元にもみ殻をまいておくと、防寒対策に加え乾燥を防ぐこともできる。

整枝・土よせ・追肥

ソラマメは1株から10本以上の枝(わき芽)が発生。
春になりそれらの枝(わき芽)が伸び始める前に、はじめに伸びている親枝を摘除。
側枝(わき芽)が20~30cm程度に伸び始めてきたら、生育が良く強い側枝(わき芽)を6本程度残して、それ以外は取り除く。

整枝後、倒れやすくなるので、株元が隠れるように土をかぶせ、通路に追肥。

その後、枝が伸びすぎた場合は、倒伏防止のため上部を刈り取り、再度土をかける。

成長の様子を見て、葉の色が落ちているようであれば、このタイミングで株間に追肥を施す。

以降も次々とわき芽が出てくるので、見つけたら摘み取る。

動画:(株)トーホクより

支柱立て

春になり草丈が伸びてきたら、株が大きく広がるのを防ぐため、株から少し離して四隅に支柱を立て、ひもで周囲を囲んで倒伏を防ぐ。

アブラムシの飛来を少なくするために、シルバーテープも使用するとよい。

水やり

開花結実時期は水分を多く必要とする時期。
水分の量で着莢のよしあしや、莢の大きさなどが変わるので、水分が切れないように潅水が必要。

摘心

草丈が1.5mくらいになったら、茎の先端(成長点)を摘芯し養分を花や実に送る。
莢は下のほうから数えて数節のものが実どまりするだけで、その上方のものは、下のほうの莢に栄養をうばわれたり、温度が高くなりすぎたりするために、着莢しないので、刈り取っても収量は変わらない。

また、春先になると枝先の新芽につきやすいアブラムシの増殖を抑えることができ、倒伏防止にもなる。

病気

モザイク病
ウイルスが有翅アブラムシにより伝播され、葉にモザイク症状やえそ症状を生じる。
ウイルス病が発生し、葉が縮むような症状がでたら、治せないので、抜き取る。

えそモザイク病

赤色斑点病(チョコレート病)とさび病
3~4月は赤色斑点病(チョコレート病)とさび病が急激に発生する場合がある。
病気が発生するとなかなか防除できないので、定期的に薬剤散布を行なって予防する。

害虫

アブラムシ
虫害ではアブラムシが最も大敵。
アブラムシは、10~12月にかけて温度が高く雨の少ない年に多く発生し、生育初期や育苗時における飛来防止が重要。
防除はまず、種まき部または定植用穴に浸透移行性殺虫剤を散布。
さらに、畝にはシルバーマルチをする。
アルミ蒸着テープを畝にそって2~3段に張るのも効果がある。
気温が上昇する4~5月は特に多くなり、短期間で増殖した場合は殺虫剤を散布。

収穫

上を向いて開花・結実するソラマメだが、マメに養分が転流すると、サヤが下向きに垂れてくる。
そして、マメが十分に肥大すると背筋が黒褐色になって光沢が出始めるのが収穫適期の目安。

サヤを触って中のマメが膨らんでいることを確認したら、ハサミで切って収穫。

収穫後は鮮度が落ちやすいので、早めに調理して食べるようにする。
「ソラマメがうまいのは3日だけ」といわれるほど、鮮度が落ちやすい野菜。

収穫後半になるとサヤの表面に褐色の斑点が出てくる。
見た目は悪いが、中のマメの味はコクがあって美味しい。

ソラマメ
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