コマツナの品種・種まき・土作り・肥料・収穫・害虫対策を実写真でわかりやすく解説!
基本情報
コマツナはカロテン(体内でビタミンAになる)、ビタミンCや鉄分およびカルシウムなどを多く含む、大変優れた栄養野菜。
アクが少なくて食べやすく、おひたし、漬物、和え物、炒め物、汁の実など幅広い料理に使える。
周年通して出回っているが、1、2度霜にあたったコマツナは甘みがのり、栄養価も高くなる。
コマツナはアブラナ科の野菜で、ツケナと呼ばれる結球しない葉菜の仲間。
名前は東京の小松川地方で作られていたことに由来している。
コマツナには長葉系と丸葉系があるが、耐暑性や耐寒性が優れている丸葉系がおすすめ。
萎黄病は薬剤による防除ができないので耐病性品種を選ぶとよい。
科目 | 好pH | 連作障害 | 発芽適温 | 生育適温 | 発芽日数 | 発芽光性 | 日照 |
アブラナ科 | 6.0〜6.5 | 1〜2 | 20~30℃ | 15~25℃ | 4~7 | なし | 半陰性 |
コンパニオンプランツ
一緒に栽培することで互いに良い影響を与え合う植物の組み合わせをコンパニオンプランツという。
リーフレタス
アオムシやコナガの幼虫は、コマツナをはじめとするアブラナ科の野菜が大好物で、親のモンシロチョウとコナガが葉っぱに卵を産み落とすが、リーフレタスをコマツナのそばに植えると、モンシロチョウやコナガはリーフレタスの独特の香りを嫌がり寄り付かなくなる。
コマツナはアブラムシも付きやすい野菜だが、リーフレタスが防除に有効。
また、リーフレタスも アブラムシが付きやすいが、コマツナをそばに植えることにより、コマツナの香りを嫌い、互いに付く害虫を忌避する相乗効果が得られる。
コマツナだけでなく、他のアブラナ科野菜(チンゲンサイ、カブ、ミズナ)のコンパニオンプランツとしても同じ効果がある。
秋にコマツナを栽培する場合、先にレタスを植えて大きく育てておくとよい。
キク科のシュンギク
モンシロチョウやコナガは、シュンギクの独特な香りも嫌うので寄り付かなくなる。
ニラ
コマツナの葉っぱに小さな穴が空いてしまうのは、害虫「ダイコンサルハムシ」の食害。
ダイコンサルハムシはアブラナ科の野菜に付きやすい害虫で、コマツナの葉っぱの上に、4~5ミリほどの小さな黒い虫を見つけたら、ダイコンサルハムシの可能性がある。
ダイコンサルハムシは手を近づけると葉から落ちて逃げてしまうので、駆除するのが難しい害虫。
ダイコンサルハムシはニラの香りを嫌うので、コマツナとニラの混植でダイコンサルハムシが寄り付かなくなる。
ニラは、ほかのアブラナ科の野菜(キャベツ、ブロッコリー、ハクサイ、チンゲンサイ、ミズナ、カブ、ダイコン)にも同様の効果が期待できる。
ニンジン
コマツナとニンジンを混植すると、ニンジンに付きやすいキアゲハの飛来を防ぐ。
さらに、コマツナに付きやすいモンシロチョウやコナガの幼虫、アブラムシによる被害を抑え、野菜全体の害虫による被害が少なくなる。
コマツナはアブラナ科、ニンジンはセリ科と「科」が異なり、それぞれの野菜に寄ってくる害虫も異なる。
別種の害虫は 互いを避ける性質があるため、野菜全体に害虫が寄り付かなくなる。
相性が悪い野菜
- ナス科の野菜、ゴマ~有害で生長を止める
- アブラナ科の野菜~害虫を呼び合う
- 地下茎で増えるハーブ類~生長を抑制する
栽培時期
地域や品種により異なるので参考まで。(さいたま市想定)
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2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
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春どり
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種まき~ | ~種まき | 収穫~ | ~収穫 | ||||||
夏どり | 種まき~ | ~種まき | 収穫~ | ~収穫 | ||||||
秋どり | 種まき~ | ~種まき | 収穫~ | ~収穫 | ||||||
冬どり | ~収穫 | ~種まき~ | 収穫~ |
品種
こまつなの葉柄の左右に葉が添っている部分は「はかま」と呼ばれ、葉型により有袴型、中間型、無袴型に分類される。
有袴型
収穫・食味とも、ほかの種類よりよいとされている。
ただ、袴の部分が収穫時に傷みやすいため、やや鮮度が落ちやすい。
代表的な品種は、「安藤早生小松菜」「新黒水菜」。
無袴型
無袴型は、葉身と葉柄がはっきりわかれている、「袴」がないタイプのコマツナ。
耐暑性・耐寒性に優れており、現在では、無袴型のコマツナが一般的に広く流通。
代表的な品種は、「城南小松菜」「みずき」など。
中間型
中間型は、文字通り有袴型と無袴型の中間にある種類で、葉身が葉柄にわずかに残っているタイプのコマツナ。
代表的な品種は、「夏楽天」「浜美2号」など。
2023年はこのコマツナ
ダイソーで買った種「四季どり小松菜(かおる)」¥55-

栽培のポイント
- 比較的冷涼な気候でよく育つので、栽培は春と秋が適している。
- 夏も寒冷紗で遮光したり、冬はビニールトンネルなどで防寒をすることで栽培できる。
- 土質はあまり選ばないが、良品を栽培するためには有機物を十分施す土作りを。
- 長期間低温にあうと花芽ができやすくなるので、トウ立ちが遅い品種を選ぶとよい。
畑の準備
アブラナ科の野菜はヨトウムシ、アオムシ、コナガなどの害虫が多くつくので、防虫ネットで防御する場合、うね立て前に土の中の害虫を駆除しておく。
夏場であれば、太陽熱消毒などがおすすめ。(畑に散水し、透明ビニールで被覆する)
※土の中に害虫が残ると、ネットを張った後の駆除は難しい。
種まきの2週間以上前に苦土石灰2握り(100/1㎡)とよく腐熟した堆肥約3kg/1㎡を全面に散布して耕す。
1週間前に化成肥料3握り(150g/1㎡)を施して再度耕し、畝を作る。
種まき
深さ約1cmに作ったまき溝に1cm間隔くらいになるように、種を15㎝で条まき。
その後、5mm程度覆土して軽く押さえてから水やり。
この後、5~8月の種まきは寒冷紗被覆がおすすめ、冬期はビニールトンネルをする。
発芽・間引き
3~4日で発芽。
間引きは本葉1~2枚時に、株間が3~4cmになるように行う。
また、3~4枚時に株間が5~6cmになるように行う。
コマツナは光を好むので、株間を広げると大株になり、品質も向上する。
したがって、葉と葉が触れ合うタイミングで間引きを行う。
追肥など
追肥は2回目の間引きをした後、畝面全体に化成肥料を軽く半握り(約25g/1㎡)をばらまく。
その時、株に肥料がかからないように注意。
そして、土と肥料が混ざるように移植ごてなどで軽くかき混ぜる。
生育の早い夏まきは、追肥は不要。
また畑の土が乾いている時はたっぷりと水やりする。
生育後半は土壌を乾き気味に保ち、病害や軟弱徒長を防ぐようにする。
病気
白さび病、炭そ病が春と秋に発生する。
雨除け栽培をするとかなり防ぐことができる。
萎黄病が出たら治せないので、抜き取って処分する。
害虫
夏場になるとヨトウムシ、アオムシ、コナガなどの害虫が多くなる。
対策は、寒冷紗や不織布などで覆う。
収穫
収穫適期の株は草丈が25~30cm。
収穫は株元を握って引き抜き、根の際を包丁やハサミで切断する。
春まきでは種まき後30~40日で、秋まきでは50~80日後で収穫できる。
コマツナは間引きした株のように小さくても食べられるので、家庭菜園では適期収穫にこだわらずに利用するとよい。