ネギの品種・土づくり・植えつけ・土寄せ・肥料・収穫・貯蔵・害虫・病気対策を実写真でわかりやすく解説!
基本情報
特有の辛みと風味をもち、薬味、汁の実、鍋物など日本料理に欠かせない野菜。
ネギを刻んだ時に目にしみる、硫化アリルは消化液の分泌を盛んにし、便秘、整腸などに効果がある。
根深ネギより葉ネギの方がミネラル、カロテン、ビタミンC・Bが多く含まれ、栄養価に優れる。
ネギは関東とその以北で栽培されている根深ネギと関西以西に普及している葉ネギに大きく分けられる。
根深ネギは主に葉鞘(白い部分)を食べ、葉ネギは葉身(緑葉)と葉鞘ともに食べられる。
春になってトウ立ちしネギ坊主ができると品質が悪くなるので、春~初夏に収穫する作型の場合はトウ立ちしにくい晩抽性品種がよい。
根深ネギでは、春まき・夏定植の栽培をすると作りやすく、しかも、霜が降りてからおいしい冬ネギが収穫できる。
科目 | 好pH | 連作障害 | 発芽適温 | 生育適温 | 発芽日数 | 発芽光性 | 日照 |
ヒガンバナ科 | 6.0〜6.5 | 1~2年 | 20℃ | 20℃ | 7~10日 | 嫌光性 | 半陰性 |
コンパニオンプランツ
一緒に栽培することで互いに良い影響を与え合う植物の組み合わせを、コンパニオンプランツという。
キュウリ
つる割れ病や青枯病、立枯病などの土壌中の病原菌が起こす病気にかかりやすいが、ネギの根に共生している拮抗菌がキュウリの病気を防ぐ。
ナス科のナスやトマト
青枯病や立枯病などの土壌中の病原菌が原因で起こる病気にかかりやすいが、ネギの根に共生する微生物が病原菌を防ぐ。
ゴーヤ
ネギやニラの根に共生している微生物がゴーヤから出る老廃物を分解し、逆にゴーヤの根に共生する微生物がネギやニラから出る老廃物を分解するため、お互いに根が活性化し生育が促進される。
根の健康が保たれることで土壌中の病原菌による病害も起こりにくくなる。
ホウレンソウ
ホウレンソウがかかりやすい萎凋病は根から病原菌が侵入することにより発病する。
葉ネギを一緒に育てることで、根から病原菌が入るのを防ぐ。
また、ホウレンソウは硝酸を多く含んでおり、これが「えぐみ」のもとになっている。
硝酸は肥料過多の状態で多く蓄積されるため、葉ネギと混植することで過剰な肥料吸収が抑制されてホウレンソウが甘くなる。
相性が悪い野菜
ダイコン
混植したり、ネギを育てていた場所に大根を植えたりすると、ダイコンの根が曲がったり、二股に割れたりする。
ダイコンがネギの出す成分を嫌うためらしい。
栽培時期
地域や品種により異なるので参考まで。(さいたま市想定)
基本作型は春まき(春に種をまいて、夏に苗を植えつけ、冬に収穫)
根深ねぎ
月 | 3月 | 4月 | 5月 | 7月 | 9月 | 10月 | 12月 | ||||||||||||||
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春まき | 種まき~ | ~収穫 | 定植~ | ~種まき | ~定植 | 収穫~ | |||||||||||||||
秋まき | 定植~ | ~定植 | 収穫~ | ~収穫 | 種まき~ | ~種まき |
ネギの品種
野菜として栽培されるネギは、「白ネギ」と「青ネギ」に大別される。
白ネギ(長ネギ、根深ネギ)
茎を包んだ葉の部分である葉鞘が白く長いネギ。白い部分を食ベる。
「下仁田ネギ」などが有名。
株元へ土を寄せて、葉鞘部を白く長く育てて収穫する。
青ネギ(葉ネギ、万能ネギ)
緑の部分が長く枝分かれしていて、葉の先まで食べられるネギ。薬味などとして食べる。
「九条ネギ」などが有名。土寄せの必要がない。分けつして広がる。
地ぎわで刈り取ればその後伸びてくる葉も繰り返し利用できる。
今回はこの深太ねぎ
「石倉根深太ねぎ」ケイヨーD2で50%引きだったので。¥163-
田舎からもらってきたのが青ネギ(多分・・)だったので、白ネギが欲しかった。

種まき・育苗
種をまき溝に5mm間隔でスジまきし、3~5mmの厚さに覆土して手でしっかりと押さえ、水やりする。
土が乾燥すると発芽率が悪くなるため、もみ殻、稲ワラ、不織布をベタ掛けや寒冷紗などで覆う。
1週間ほどで発芽。
間引きは、草丈が6~7cmの頃1.5cm間隔で1本に、草丈10cmの頃3cm間隔で1本に。
追肥は、種まき後1カ月ごとに化成肥料を1平方メートル当たり1握り(約50g)をばらまき、クワや移植ゴテなどで軽く耕す。
草丈30〜40cmで鉛筆ほどの太さの苗に仕上げる。
畑の準備
畝の中央に30cmの深さの植え溝を掘るので、水が溜まりやすい畑の場合は、溝が地面より低くならないよう40cmほどの高畝を立てる。
溝に堆肥と肥料を入れて(肥料焼けしないように)土を被せる。
定植
根深ネギは、植え溝に株間5cm間隔で、1本ずつ植え溝の側面に立てかけるように苗を置いていく。
ネギは密植した方が、お互いに助け合うために生育がよくなる。
根が隠れ、株が倒れない程度に3cmほど覆土し浅植えにする。
根がまだ十分に張っていないため、土が乾燥しないように適度な水やりをおこなう。
根元にはワラを敷いて適度な水分を維持し、通気が良くなることで病害虫を防ぐ。

土寄せ・追肥
1回目:植え付けから1ヶ月後に厚さ6~7cmほど土寄せし追肥
2回目:1ヶ月後に土寄せ・追肥
3回目:1ヶ月後に土寄せ・追肥
4回目:収穫の30〜40日前に土寄せ(追肥なし)
追肥は根深ネギも葉ネギも化成肥料を1平方メートル当たり1握り(約50g)とする。
ネギと反対側の畝の肩に追肥を施して、土と混ぜながら溝に土を入れ、分けつ部(葉が分岐するところ)の下まで土寄せする。
分けつ部に土が入ると、生育が極端に悪くなったり、腐敗することがあるため、土寄せは常に分けつ部の4〜5cm下まで。
白ネギは生長に合わせて土寄せすることで、葉鞘部が白く長くなり軟白部分の長い品質の高い長ネギになる。
ネギは過湿に弱いため、水のやり過ぎは根腐れになる。土が常に湿っている状態は避け、乾燥気味に管理する。
夏場は乾燥しやすいため、土の表面が乾いていることを確認してから、朝夕の涼しい時間帯に水をやる。
ネギは雑草に弱いので、土寄せの際に限らず、こまめに除草する。
ネギ坊主は?
一定の大きさの苗が一定期間低温に当たると「とう立ち」する。
とうとは花を咲かせる茎(花茎)のことで、花芽のついた茎が花を咲かせるために伸びてきた状態が「とう立ち」または「抽苔(ちゅうだい)」で、その後気温が上がり、日が長くなるとネギ坊主が伸びてきて花を咲かせる。
春まき・夏植え栽培では寒さに遭うのが収穫期なので問題ないが、秋まき・春植え栽培では植える前の苗がすでに花芽を持っている可能性があり、植え付けた苗からネギ坊主が伸びてきたらすぐに摘み取る。
病虫害
さび病は5~6月と10~12月に、べと病は残暑の頃に多く発生しやすいので、薬剤散布して防除。
乾燥している時にはスリップス、アブラムシなどが発生するので、早めに薬剤を散布。
収穫
根深ネギは最後の土寄せから約1ヶ月後を目安に軟白部分が長くなったら、太いものから順に収穫。
畝の端からクワやスコップで土を崩してから、株元を手でつかんで抜き取る。
収穫後すぐに食べないときは、泥付きのまま新聞紙に包み、冷暗所で保存しておく。
葉ネギは草丈が50cmほどになったら掘り取って収穫。目安は植えつけ後50~60日。
株全体を収穫せずに地上部を刈り取れば、必要な時に間引き感覚でいつでも収穫できる。