タマネギの栽培方法、害虫・病気対策!実写真でわかりやすく!

タマネギの品種・土作り・植えつけ・芽かき・土寄せ・肥料・収穫・貯蔵害虫・病気対策を実写真でわかりやすく解説!

基本情報

タマネギは、冬越しさせて育てる野菜の代表格。

生では辛味と独特の香りがあり、加熱すると甘く変化。

カルシウムやリン、鉄などのミネラルやビタミンB1、B2も含み大変栄養価が高い。

煮物、炒め物、揚げ物など料理やサラダなど利用範囲が大変広く一年中食卓に欠かせない。

温暖地・暖地では秋まき、春~初夏採り。
ただし、早まきして大苗で越冬するとトウ立ちが多くなる。

秋まき栽培は、早採り栽培の場合、貯蔵性は悪いが肥大のよい早生種を用いる。
普通栽培では中生種、貯蔵用栽培では晩生種を用いる。

北海道などの寒冷地では越冬が困難なので春まき栽培となる。

科目好pH連作障害発芽適温生育適温発芽日数発芽光性日照
ユリ科6.3~7.8出にくい15~20℃15~25℃7~10日嫌光性陽性

栽培時期

地域や品種により異なるので参考まで。(さいたま市想定)

9月 10月 11月 12月 1月 4月 5月 6月
早生種 種まき~   ~種まき       定植~ ~定植               収穫~     ~収穫(8月上旬まで貯蔵可能)        
中生種     種まき~ ~種まき         定植~           ~定植         収穫~     ~収穫(年内まで貯蔵可能)
中晩・晩生種     種まき~ ~種まき         定植~   ~定植                 収穫~     ~収穫(翌年2月末まで貯蔵可能)

コンパニオンプランツ

一緒に栽培することで互いに良い影響を与え合う植物の組み合わせをコンパニオンプランツという。

ソラマメ

冬の間、玉ねぎとソラマメはどちらも土の下に根を張りますので、霜柱が立ちづらくなる。

春になると、ソラマメの根の根粒菌が活発に窒素固定を行い、土を肥沃にして玉が大きくなる。

玉ねぎはネギ属で、根っこに共生する菌が抗生物質を出し、ソラマメがかかりやすい「立枯病」などの病気を予防する。

気温が高くなるとソラマメの先端にアブラムシが大量に発生するが、玉ねぎがアブラムシの天敵テントウムシやアブラバチ、ヒラタアブなどを呼び、アブラムシを捕食する。
また、玉ねぎに付く害虫も減少する。

カモミール

玉ねぎの葉っぱがかすれたように白くなっているのは、スリップス(ネギアザミウマ)という体長1mmほどの害虫による被害。
白い部分が広範囲になると光合成がおこなえず、玉ねぎの生育が悪くなる。

カモミールを混植すると、独特の香りでスリップスが寄り付かなくなる。
カモミールにもアブラムシが寄ってくるが、天敵も増えてすみかになり、タマネギに付くアブラムシなどの害虫を駆除する。

カモミールは、一年草で小型の「ジャーマンカモミール」と多年草の「ローマンカモミール」がある。
家庭菜園ではジャーマンカモミールが扱いやすい。

なお、ローマンカモミールは草丈が低く、こんもりと育ち、花だけでなく茎や葉っぱの株全体から強い香りを発し、野菜のそばで育てなくても効果を発揮する。

タマネギ4~5株ごとにカモミールが1株の間隔でタネをまきます。
カモミールは、1m近く離して植えても、香りの効果はいきわたる。

3月中旬からカモミールの芽の先端をカットすると、わき芽が増え、たくさん花が咲く。

ニンジン

ニンジンはタマネギの害虫を予防し、タマネギはニンジンの根を侵す病気を予防する。

ニンジンは、タマネギと栽培期間が重なる品種を混植して育てる。

相性が悪い野菜

タマネギと同じ、ネギやニンニクなどのヒガンバナ科の植物は、混植で特有の成分が発生し、ユリ科の植物の生育を阻害する。

品種は何がいい?

極早生・早生種

収穫までの期間が短いので、同じ畝で夏野菜の栽培ができる。
特に生食、サラダがおすすめ!貯蔵にはあまり向かない。

春いちばん

収穫時期:3月中旬~4月上旬
平均果重は約250g。耐病性は並。貯蔵には向かない。収穫したてを食べる!

スーパーリニア

収穫時期:4月上旬~4月中旬
加熱すると甘味が増すので、サラダ、加熱ともOK。耐病性は並。平均荷重約280g。
貯蔵には向かない。収穫したてを食べる!

トップゴールド320

収穫時期:3月中旬〜4月上旬
3月に収穫が狙える!収量多く揃いも良い。サラダに。耐病性は並。平均荷重約250g。
貯蔵には向かない。収穫したてを食べる!

サラダ玉ねぎ

収穫時期:3月中旬~4月上旬
苦味少なく、甘みの強い人気の新玉ねぎ! 耐病性は強。平均果重約350g。
貯蔵には向かない。収穫したてを食べる!

ソニック

収穫時期:4月下旬~5月上旬
玉しまり良好、耐病性が強い!早生品種では、夏までの貯蔵が可能な人気品種。
平均果重約250g。耐病性は強。貯蔵期間は8月まで。

ソユーズ3号

収穫時期:3月中旬~4月上旬
3月に収穫できる!玉揃い良く、サラダにぴったり!平均果重約320g。
耐病性は並。貯蔵には向かない。収穫したてを食べる!

ラムダ

収穫時期:4月中旬~5月上旬
作りやすく、美味しい!平均果重約250g。耐病性は並。
貯蔵には向かない。収穫したてを食べる!

中生種

貯蔵性が高く、年内くらいの貯蔵が可能。

ケルたまルビー

収穫時期:5月中下旬~6月上旬
アントシアニンが豊富なサラダ向け赤たまねぎ! 平均果重は約280g。
耐病性は並。貯蔵期間は9月末まで。

O・P黄

収穫時期:5月中旬〜6月中旬
貯蔵性に優れ、苗立ち、活着良く、作りやすい大玉品種!
平均果重は約320g。耐病性は強。貯蔵期間は12月まで。

OK黄

収穫時期:5月中旬~6月中旬
貯蔵性良く、長期間保存可能で吊り貯蔵や冷蔵保存可能。
平均果重約290g。耐病性は強。貯蔵期間は12月末まで。

愛知赤

収穫時期:5月中旬~6月中旬
作りやすく色鮮やかな紅色玉ねぎ!平均果重約320g。
耐病性は並。貯蔵期間は9月下旬まで。

アトン

収穫時期:6月上旬~6月中旬
病気に強くつくりやすい!豊産中生種!500g以上を狙える!
平均果重約350g。耐病性は強。貯蔵期間は12月末まで。

泉州黄玉ねぎ

収穫時期:5月下旬~6月中旬
甲高・扁円球で形状の良い中生黄玉葱。生育旺盛でつくり易い豊産種。
球重は1球あたり250~300g前後。
貯蔵性にも優れ、吊り玉にすれば10月上旬くらいまでの貯蔵も可能。

中晩生・晩生種

高い貯蔵性が魅力。翌年の3月頃まで貯蔵ができる。

ネオアース

収穫時期:5月下旬~6月中旬
色つや良く、貯蔵性に優れる!最長9か月の長期保存が可能!
平均果重約350g。耐病性は強。貯蔵期間は2月末まで。

ケルたま

収穫時期:6月中旬~6月下旬
活性酸素を除くと言われる機能性成分「ケルセチン」が約2倍の含有量。
平均果重約280g。耐病性は強。貯蔵期間は3月末まで。

赤玉ねぎ 緋蔵っ子

収穫時期:5月下旬~6月上旬
長期貯蔵が可能な赤玉葱、抽苔・分球が少なく作りやすい。収量性が高い。
平均果重約350g。耐病性は並。貯蔵期間は6~12月末。

吊り玉

収穫時期:5月中旬~6月上旬
抽苔・分球が少なく、玉揃いも抜群!貯蔵期間が長い!
平均果重約330g。耐病性は並。貯蔵期間は2月末まで。

紅(くれない)

収穫時期:5月下旬~6月上旬
病気に強く、作りやすい多収の赤たまねぎ。
平均果重約300g。耐病性は強。貯蔵期間は8月末まで。

もみじ3号

収穫時期:5月中旬~6月中旬
病気に強く、育てやすい!長期保存も可能。
平均果重約320g。耐病性は強。貯蔵期間は3月まで。

パワー

収穫時期:6月上旬~6月中旬
分球や抽苔の心配が少なく、2月末まで吊り貯蔵できる。
平均果重約290g。耐病性は並。貯蔵期間は2月末まで。

タマネギ栽培は、良い苗づくりが基本。早まきして大苗で越冬すると春にとう立ちしてしまうため、品種ごとの種まき時期を守り、適正サイズの苗を育てることが大切です。

今年(2022年)は早生、中生、晩生の3種にした

「健苗早生」「泉州黄玉ねぎ」「ネオアース」をチョイス。

味の違い、保存期間の違いなどが楽しみ。

健苗早生

ポット苗から24本定植。4月下旬~5月中旬に収穫予定。貯蔵期間は8月まで。

 

泉州黄玉ねぎ

ハウスで育てた5本を定植。収穫時期:5月下旬~6月中旬。貯蔵期間は10月上旬まで。

 

ネオアース

セルから20本を定植。収穫時期:5月下旬~6月中旬。貯蔵期間は2月末まで。

 

苗床を作る

苗床は苦土石灰3握り(約150g/1㎡)、化成肥料2握り(約100g/1㎡)を全面散布してよく耕し、表面を平にする。

少量の場合は、プランターや育苗箱、セルトレイに培養土を入れて苗作りをすると手軽。

種まき

条間8〜10cmでまき溝をつけ、0.5~1cm間隔で条まき。

軽く覆土してしっかりと鎮圧し、たっぷり水をやる。

土が乾燥すると発芽率が悪くなるため、もみ殻をまいたり、不織布をベタ掛けする。

発芽後は不織布を外し、草丈が6~7cmの頃、混んでいるところを間引き、2回目は、草丈約10cmで本葉2枚の頃に株間1.5cmほどに間引き。

追肥は2回目の間引きの時に行い、化成肥料(N:P:K=8:8:8)を軽く1握り(約30g/1㎡)。

ポットまきは、ポリ鉢に直接タネを10粒ほどまいて、そのまま育苗。

込みあった所は間引きし、葉2枚目までに苗の間隔は10mm程度にする。

育苗日数は50~60日程度、本葉3~4枚が定植時期。

畑の準備

定植する2週間以上前に苦土石灰を3握り(約150g/1㎡)施して耕す。
牡蠣殻石灰など有機石灰なら直前でOK。
元肥としては鶏ふんを播く。鶏ふんはリン酸分が多く、玉の肥大に良い。
「骨粉」などリン酸を多く含む肥料でも玉が充実する。
リン酸は地下にしみていかないため、深く伸びる根が吸えるように深くに混ぜておく。
また、もみ殻くん炭を撒くと土が団粒化し、通気性や排水性がよくなり、ミネラル分の補給になったり害虫もつきにくくなる。

生育の促進と収穫まで期間が長いので雑草防止のため黒ポリマルチをするとよい。
タマネギ用の穴あきマルチが便利。

定植

草丈20~25cmで根元の太さが鉛筆よりやや細い苗を、株間・条間共12~15cm間隔で植える。
根っこを濡らしてから、深植えにならないよう、白いところが見えるくらいに植える。

適正サイズの苗を適期に植え付ける。
苗が小さすぎると大きい玉にならず、大きすぎると「とう立ち」しやすくなる。
植えつけ後、軽く水やりすると早く根付く。
また、その後2,3日水やりした方が根付きやすい。

左から24穴に「健苗早生」、真ん中あたりに「泉州黄玉ねぎ」5本、その右の20穴に「ネオアース」。

 

追肥

どの品種も基本、植え付けから1か月後に行う。

極早生・早生での1回目は12月下旬~1月上旬ごろ、止め肥は2月上中旬になる。

中生・中晩生は1回目は1月上旬、2回目は2月上旬ごろ、止め肥は3月上旬となり、貯蔵性を高めるには多肥・遅肥を避ける。

追肥量は1回、化成肥料(N:P:K=8:8:8)を1握り(約50g/1㎡)。

マルチの場合は植穴に、無マルチの場合うね面全体にばらまき、移植ゴテなどで土と肥料をかき混ぜる。マルチ栽培をしている場合は、雨による肥料の流出が少ないので追肥は控えめにする。

霜から株を守るためにワラや刈草を敷くとよい。
霜柱で苗が浮き上がることがあるので、手などで株元を押さえておく。

葉が波打っていたら追肥はいらない。特に早生種は追肥がいらないことあり。

マルチを張っていても、狭い穴から雑草が伸びて、タマネギの生長が悪くなるのでこまめに抜く。

病虫害

秋まきでは、種まき後1~2カ月は未熟な堆肥を使うとタネバエやヨトウガに、春先から収穫まではアブラムシやべと病、軟腐病、黒斑病などが発生する。

べと病は苗床や春先の発生時にしっかりと防除する。

タマネギ軟腐病になってしまった!(4月25日)

排水不良の圃場で発生が多い。

対策は、高畝栽培など、圃場の過湿対策をする。密植とチッソ多肥による茎葉繁茂を避ける。
発生したら、アグリマイシン100、ナレート水和剤、アグレプト水和剤、スターナ水和剤、ヨネポン水和剤、マテリーナ水和剤、カスミンボルドーなどを散布する。
予防散布が効果的。強風後など傷口からの感染が増加するので予防的に薬剤を散布する。

・・・が、無農薬で行きたいので、とりあえずこの株だけ引き抜いて様子をみる。

 

タマネギ乾腐病(かんぷびょう)だ!(5月4日)

なんか茎がフニャフニャしているので引き抜くと・・・

白いカビのようなものが!

原因は「フザリウム オキシスポルム フォルマスペシャーリス セペ(Fusarium oxysporum f.sp. cepae)」という病原菌らしい。

土壌伝染や玉ねぎの傷の部分から侵入するもので、28度前後の高温で活発に活動するようだ。
玉ねぎの肥大期である真夏に繁殖しやすい。

 

とう立ちしてしまったら・・・

収穫期前にとう立ちしてできたネギ坊主(花芽)を放っておくと、タマネギの中に固い芯ができて食べられなくなってしまうため、見つけたらすぐに摘み取る。

収穫

5月下旬から6月上旬頃、球の肥大充実が進行し葉鞘の内部が中空になり、風によって簡単に葉が倒れるのが球が成熟したしるし。

カレーに必要で一部収穫したうちのタマネギ

 

一気に収穫したい場合は、全体の8割程度の葉が倒れた頃が目安。

葉が黄ばみ始めると、病気が発生し貯蔵中の腐敗が多くなるので、葉が青いうちに収穫する。

葉のつけ根をつかんで、真上に引き抜く。
抜けない場合は、手で球を持って引き抜くとよい。

雨が続いて土が湿っていると、玉も多湿になり収穫後に傷みやすくなるため、収穫は土が乾いている天気のよい日を見計らって収穫し、雨の当たらない場所に並べて1~3日乾かす。

貯蔵

茎が乾燥したら、4、5個ずつ葉のつけ根をヒモで縛って束ねる。さらに2束ずつヒモで縛って吊す。

吊るす場所がない場合は、茎葉を切って網袋・網カゴなどに入れて風通しのよい日陰に置いておく。

風通しがよく、雨と直射日光が当たらない軒下などに吊るしておくと、長期保存ができる。
早生種の場合は2ヶ月、中晩生種なら6ヶ月以上保存できる。

 

トラブル事例

分球

植えつけの際に、苗が大きすぎると内部で分球することがあり、生育が進むにつれてそれが肥大化すると、珠割れを起こして2つに分かれる。苗が大きくなりすぎないよう、種まきの時期を守ること。
暖冬傾向の時や大玉を狙ってむやみに株間を広げた時にも多発する。

植えつけの時に苗が飛びぬけて大きかった^^

 

貯蔵中に腐る

葉が黄色くなるまで収穫しないと、病原菌が侵入して内部で侵食、腐敗の原因になる。
玉が肥大したらなるべく早く収穫し、畑で乾かしておく。

皮をむいたら黒いススがある

薄皮を剥いたときに黒いススが付いているのは、貯蔵病害の一種で黒カビ病による。
貯蔵中に高温や風通しが悪いと発生。
腐りはせず、洗い流せば食べられる。

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