エンドウの品種・種まき・土作り・植えつけ・土寄せ・肥料・収穫・害虫対策を実写真でわかりやすく解説!
基本情報
エンドウ自体の原産地は中央アジアから中近東地域。
サヤエンドウ、グリンピース、スナップエンドウは、分類上「マメ科エンドウ属」と同じもので、成長度合いや品種によって違った名前なだけ。
それぞれ育て方は同じで、実とサヤの利用の仕方によって収穫時期が異なる。
ビタミンCに富み、ビタミンA、B1、食物繊維も多く、ミネラル分も豊富な緑黄色野菜。
サヤエンドウはグリンピースやスナップエンドウに比べてビタミンC、ビタミンKを多く含みますが、ビタミンB1はグリンピースよりも少ないなど、分類上は同じものであっても栄養の含有量が異なる。
調理は加熱を短時間にすることがポイント。
科目 | 好pH | 連作障害 | 発芽適温 | 生育適温 | 発芽日数 | 発芽光性 | 日照 |
マメ科 | 6.5〜7.0 | 4〜5年 | 20~30℃ | 15~20℃ | 7~12日 | なし | 陽性 |
コンパニオンプランツ
一緒に栽培することで互いに良い影響を与え合う植物の組み合わせをコンパニオンプランツという。
タマネギ
タマネギはマメ科植物と相性がよく、互いに根っこを張るため 霜柱が立ちにくくなり、寒さによるダメージを受けにくくなる。
タマネギは「ネギ属」で、根に共生する菌が抗生物質を出すため、エンドウは立枯病にかかりづらくなる。
暖かくなると、エンドウにアブラムシなどの害虫がつくが、アブラムシの天敵であるテントウムシやアブラバチ、ヒラタアブなども増えるため、タマネギの害虫を防ぐ。
エンドウの根っこに付く根粒菌が活発に窒素を固定し土が肥沃になり、タマネギはその養分を吸収して玉が大きくなる。
クリムソンクローバー
クリムソンクローバーは地表をおおうように草丈の低い状態で越冬し、そら豆・エンドウ・タマネギを寒さから守る。
3月になるとクリムソンクローバーが大きくなり、ほかの雑草が生えるのを防ぐ。
また、クリムソンクローバーにはアブラムシなどがびっしり付き、テントウムシなどの益虫のすみかに変わることによって、エンドウに付くアブラムシを捕食する。
クリムソンクローバーはマメ科なので根に根粒菌が共生し、空気中の窒素を固定し土が肥沃になり、、エンドウ・タマネギはその養分を利用し生育が促進される。
ボリジ
ボリジは、アブラムシの天敵であるアブラバチを呼び寄せる。
ボリジがアブラムシに吸汁されると、ボリジ自身がシグナルを発してアブラバチを呼び寄せる。
(すごい仕組みだ!)
アブラバチはアブラムシの体内に産卵し、寄生されたアブラムシは死に至るのでアブラムシの密度が下がる。
ボリジを畑に植えると、ミツバチなどの訪花昆虫も呼び寄せ、畑の野菜の受粉の手助けにもなる。
なおボリジはエディブルフラワー(食用花)で、葉やお花を食べることができる。
ルッコラ
マメ科のエンドウは、空気中の窒素分を土の中で固定するので、ルッコラの生長が促進する。
またルッコラはアブラナ科のハーブで、土の中の根圏微生物相が活発になるため、エンドウが病気にかかりづらくなりお互いの生長を促進し合う。
ルッコラは、1年を通して栽培できる時期が長く、生長も早いので、エンドウを栽培している間に2回収穫することができる。
その他
ホウレンソウ~生長促進
ニンジン~相互に成長促進
トウモロコシ~害虫が減り、成長促進
マリーゴールド~センチュウ退治
相性が悪い野菜
ニンニク、ニラ~生育を妨害する
栽培時期
地域や品種により異なるので参考まで。(さいたま市想定)
月 | 10月 | 11月 | 翌年5月 | 6月 |
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直播き | 種まき~ | ~種まき | 収穫~ | ~収穫 |
育苗 | 種まき~ | ~種まき 植えつけ | 収穫~ | ~収穫 |
品種
莢の形状や食べ方の違いなどによってさまざまなタイプに分類され、それぞれに多種多様な品種が存在する。
主な品種として、サヤエンドウ(絹さや)、スナップエンドウ、グリーンピース(実エンドウ)があるが、これらは、分類上「マメ科エンドウ属」と同じもので、成長度合いや品種によって違った名前で呼ばれている。
サヤエンドウ
・特徴
エンドウを若いうちに採り、さやごと食べるもの。
その中でも特に小ぶりなものは、「絹さや」とも呼ばれる。
・歴史
最初は江戸時代にヨーロッパから伝えられたようだが、本格的に普及したのは、欧米から良質な品種が導入された明治時代になってから。
グリンピース
・特徴
エンドウのさやの中の豆をある程度大きくなるまで成長させ、完熟する前のやわらかい状態の時に収穫したもの。
・歴史
日本では明治時代になってから普及した。
スナップエンドウ
・特徴
グリンピースをさやごと食べられるように品種改良したもの。
肉厚で甘みが強い。
・歴史
日本にはアメリカから導入され、1970年代から出回るようになった。
スナップエンドウ?スナックエンドウ?
正式名称はスナップ(snap=ポキっと折れる)エンドウ。
スナックエンドウは「サカタのタネ」の商品名で、どちらも同じ豆。
今回はこのエンドウ
ダイソーで買った種「絹さやえんどう(兵庫絹さや)」¥55-

種まき
低温にあたることで花芽の分化が進むことから、秋まき春採り栽培が一般的だが、株が大きくなると耐寒性が失われるので早まきは避ける。
3号ポットに培養土を入れ、種を2~3粒ずつ、2~3㎝位の深さにまき、軽く押して鎮圧し、たっぷりと水を与える。
幼苗は、低温に強く4~7℃の低温に耐える。
エダマメは種まきのときたっぷり水を上げたら発芽まで水をやらない。腐る。
本葉が2~4枚のころ、1〜2本立てにする。
苗を2本残して競合させた方が、根張りがよく、実りがよくなるらしい・・・
本葉3〜4枚の苗に仕上げ、2本立ちのまま畑に植えつける。
手前はソラマメ、奥がキヌサヤの2本仕立て

畑の準備
連作を大変嫌うので最低3~4年間エンドウを作ったことがない畑を選ぶ。
また、酸性土壌に特に弱いので、種まきの2週間以上前に必ず苦土石灰を3~4握り(150~200g/1㎡)を施して土壌酸度を中和しておく。
1週間以上前に堆肥は約1.5kg/1㎡、元肥の化成肥料(N:P:K=8:8:8)は1握り(50g/1㎡)、過リン酸石灰を軽く1握り(約30g/1㎡)を施しよく耕す。
過湿にも弱く、土壌水分の多いところでは、根腐れを起こし生育が悪くなるので水はけの悪いところは高畝にする。
エンドウは、秋から冬は越冬するだけなので植え付け時に栄養分はあまり必要ない。
元肥が多いと秋に成長しすぎて寒さに弱くなるため、越冬できなくなる。
マメ科の植物の根には、空気中の窒素を固定する根粒菌が共生していて、自ら栄養分を作り出すため窒素肥料を控えめにし、元肥を施したあとは基本的に追肥は施さない。
(開花前後から根粒菌が本格的に窒素供給を始める)
肥料分が多すぎると過繁茂になり、さやのつきが悪くなる上に、どんどん伸びて倒伏しやすくなる。
定植
本葉3~4枚のころ、条間45㎝、株間30㎝で2本立ちのまま植えつける。
エンドウは冷涼を好み、15~20℃が生育の適温。
エンドウは大きくなると寒さに弱くなるので、小さい苗の状態(草丈20cm以下)で冬越しさせるのがポイント。
小さい苗で冬越しをさせると冬の間に根を張って春先からどんどん生長する。
冬の寒さに合わせて根の張りが良くなることで花芽のつきも良くなり収量が増える。
防寒対策として株元にもみ殻をまき、霜除けに不織布や寒冷紗を掛けるとよい。
剪定
通気性をよくして病害虫の被害を減らすために脇芽の剪定を行うとよい。
冬越ししたツルの方が、寒さに一度当たり収量が多くなる。
3月に入り冬越ししたツル(太い)を残して脇芽(新芽:小さい、細い)を剪定する。
冬越ししたツルでも、先端が枯れている、折れている、下から枯れてきているものは残さない。
先端がしっかりしていて茎が立派で丈夫なもの6~10本を残す。
支柱
つるあり種は、越冬後、つるが伸びてきて15~20cmの頃に、1.5~2mの支柱を立ててネットを張り、誘引する。
株が広がってしまう前に、ネットを張っておく。
追肥
1回目
冬を越し、生長し始める3月上旬に1回目の追肥。畝の肩にひとつかみずつまく。
2回目
生長が盛んで花が次々と咲いている時期に2回目の追肥を行うと、実つきが良くなる。
サヤを次々と収穫するので窒素の吸収が多くなり、肥料が不足すると色艶も悪くなり収量も上がらなくなる。
水やり
開花後は乾燥させないよう、雨が降らないときは適時水やりを行う。
この時期に乾燥すると、おいしいサヤができない。
病気
水はけが悪いと生育初期に立枯病が出ることがある。
また、収穫期の後半のうどんこ病の発生を少しでも遅らせることが、収量を上げるポイント。
うどんこ病の発生をできるだけ抑えるためには、つるが込んできたら整枝して風通しをよくしたり、高温乾燥時には草勢が衰えないように水を切らさないようにする。
害虫
害虫はウイルスを媒介するアブラムシを早期駆除し、ハモグリバエは発生初期に速効性の殺虫剤を株全体に散布する。
収穫
花の後には小さな実がつく。
収穫期には次々と実がなるので、種類に応じた適期に収穫を行う。
キヌサヤ
サヤが十分に成長した頃に収穫。(開花から約15日?25日?)
日が透けて豆がうっすら見えるくらいが適期。
これを過ぎると硬くなる。
スナップエンドウ
サヤが丸々と太り、爽やかな緑色の頃に収穫。(開花から約20-25日)
採り遅れるとサヤも豆も固くなって風味も落ちるので、サヤがみずみずしいうちに収穫。
グリーンピース
実の太りが目立ち、サヤにしわが出始めた頃に収穫。(開花から約1ヶ月)
サヤをつまみ、軸の付け根からポキっと摘み取って収穫。
適期を過ぎると固くなり風味も落ちる。
また、早めの収穫を心掛けることで株が疲れず、次々とサヤができるため、収穫期間も長くなる。