シュンギクの品種・種まき・土作り・植えつけ・土寄せ・肥料・収穫・害虫対策を実写真でわかりやすく解説!
基本情報
シュンギクはカルシウム、リン、鉄、カリウムやビタミンC、B1、B2が多く含まれ、特に、ビタミンA効力のあるカロテンはホウレンソウやコマツナより多く、食物繊維も豊富。
特有の香りと歯触りが好まれ、鍋物には欠かせない。
また、和え物、おひたし、ごま和えなどの料理にも使え、大変便利な葉菜。
科目 | 好pH | 連作障害 | 発芽適温 | 生育適温 | 発芽日数 | 発芽光性 | 日照 |
キク科 | 6.0〜6.5 | 4〜5年 | 15~20℃ | 15~20℃ | 5~7日 | 好光性 | 陽性 |
コンパニオンプランツ
一緒に栽培することで互いに良い影響を与え合う植物の組み合わせをコンパニオンプランツという。
シュンギクは万能のコンパニオンプランツであり、害虫忌避に欠かせない野菜です!
シュンギクなど、キク科の植物は「アレロケミカル」という、ほかの動植物を寄せ付けない物質を出します。
アブラナ科の野菜
キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、チンゲンサイ、コマツナ、ミズナ、カブ、ダイコンなど。
アブラナ科を好む害虫(モンシロチョウやコナガなど)は、春菊の香りを嫌がり飛んでこなくなることで、野菜への産卵が少なくなり、アオムシやコナガの幼虫が野菜を食害することが少なくなる。
シュンギク自体にアブラムシやハモグリバエなどの害虫が付くことがあります。
そこで、アブラナ科野菜と一緒に育てると、それぞれに寄ってくる害虫を忌避する。
異なる科の野菜は、寄り付く害虫が異なり、別種の害虫は、互いを避け合う性質があり、野菜を混植することでそれぞれに付く害虫が寄り付かなくなり、野菜全体の害虫被害が少なくなる。
シュンギクとアブラナ科の野菜は好む養分が異なるので、土の中の余分な肥料を互いに利用し合う。
肥料の多すぎる土は、シュンギクもアブラナ科野菜も’えぐみ’が出てしまうが、一緒に栽培することで味が良くなる。
シュンギクの品種は、東日本で一般的な「株立ちタイプ」がおすすめ。
なぜなら摘心すると栽培期間を延ばすことが出来るため。
西日本で一般的な「キクナ(大葉シュンギク)」は、株元を切って収穫するので、栽培期間を延ばすことができない。
バジル
バジルの香りには「リナロール」という香り成分があり、殺菌作用がある。
またバジルは暑さに比較的強く、よく育ち、株が大きくなるりシュンギクを害虫から守る。
ただし、バジルは夏になると草丈が高くなり、春菊が日陰になって生長を妨げてしまうのでたくさん栽培しないようにする。
相性が悪い野菜
同じキク科の野菜
栽培時期
地域や品種により異なるので参考まで。(さいたま市想定)
月 | 3 | 4 | 5 | 7 | 8 | 9 | 10 | 12 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一般地 | 種まき~ | 収穫~ | ~種まき | ~収穫 | 種まき~ | 収穫~ | ~種まき | ~収穫 |
品種
関東以北では「春菊(シュンギク)」、関西では「菊菜(キクナ)」と呼ばれている。
冷涼な気候を好み、生育適温は15~20℃で秋まき栽培が最も適しているが、暑さ、寒さには比較的強く、本葉が出ていれば0℃以下でも枯れずに越冬できる。
ただし、春の高温・長日でトウ立ちし開花するので、トウ立ちしにくい品種を選ぶのがよい。
品種により葉の形や茎の太さに違いがあり、葉の大きさによって大葉種・中葉種・小葉種に大別されます。国内でよく栽培されているのは中葉種で、大きく分けて二つのタイプがあります。
品種により葉の形や茎の太さに違いがあり、葉の大きさによって葉幅が広く切れ込みが浅い大葉種、葉幅はやや広く切れ込みが多い中葉種、葉の切れ込みが深くて細かい小葉種がある。
最も多く栽培されているのは中葉種で、大きく分けて二つのタイプがある。
- 茎が伸びやすく摘み取り収穫に向く「株立ち型」
- 株元から側枝がたくさん出る「株張り型」(抜き取り収穫向き)
関西で多く栽培されており、葉柄がやわらかく、葉が厚めで日持ちがよいのが特徴
ある程度の大きさに育ったら株元から抜き取って収穫
また、関西は大葉種、関東は中葉種が好まれる。
また、最近、アクが少なくサラダなどで食べられる品種も開発されている。
今回はこのシュンギク
ダイソーで買った種「作りやすいしゅんぎく(関東株張中葉)」¥55-

畑の準備
酸性土壌に特に弱いので、種まきの2週間以上前に必ず苦土石灰を3握り(150g/1㎡)を施して土壌酸度を中和しておく。
種まきの1週間以上前に堆肥3kg/1㎡、元肥の化成肥料(N:P:K=8:8:8)は2握り(100g/1㎡)を施しよく耕す。
発芽をよくするために、畝の表面から5cmくらいの深さまでのゴロ土や石ころを取り除き、土を細かく砕いてから、板などで平らに鎮圧して畝をつくる。
種まき
種まきは畑に溝を作り、1㎝間隔でスジまきする。
発芽率が悪いので多めにまく。
まき溝の間隔(条間)は15〜30cm。
発芽をそろえるために、種まきの前に種を一晩水に浸しておくのもよい。
一昼夜水に浸すと水がまっ茶色になり、発芽抑制物質が除去され発芽がよくなる。
10℃ | 15℃ | 20℃ | 25℃ | 30℃ | 35℃ | 40℃ | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
発芽率(%) | 18 | 42 | 43 | 26 | 24 | 15 | 0 |
平均発芽日数 | 7.3 | 5.0 | 3.4 | 3.3 | 3.4 | 3.5 | — |
また、覆土が薄いと乾燥しやすいため、種蒔き前に水やりして土を十分に湿らせておく。
覆土はシュンギクは好光性なのでわずかに種が見えるくらい薄めにして、しっかりと鎮圧する。
水やりは、まいた種が動かないよう静かにたっぷりと行う。
その後は、土の表面が乾き始めたら水やり。
やり過ぎると種子が酸欠状態になり発芽しにくくなる。
種まき後は乾燥防止のため、切りワラや新聞紙をかけておくとよい。
種まき直後に、害虫の被害を防止するために防虫ネットをトンネルで覆うとよい。
種まき後、5日~1週間で発芽する。
間引き、追肥など、収穫までの栽培管理
本葉1~2枚の時に込み合ったところを間引き、株間2~3cmにする。
次は、本葉4~5枚の時、株間を5~6cmにする。
この時化成肥料(N:P:K=8:8:8)を軽く1握り(約30g/1㎡)追肥し、土寄せする。
株ごと収穫型品種の間引きはここまで。
摘み取り型品種は、この後、株間を10~15cmになるまで間引きしながら収穫する。
摘み取り収穫の場合は、収穫中も2週間に1度のペースで追肥を続ける。
摘み取り型品種の株間は広くとることがポイント。
また土の乾燥にも弱いので、こまめに水やりをしましょう。
シュンギクは5℃以下になると生育が衰え、葉が傷みやすくなるので、冬季の間は、不織布のベタ掛けやトンネル栽培で防寒しておく。
病気
病害の発生は少ないが、べと病、炭そ病は湿度が高い時に発生しやすいので、水はけをよくしたり、できるだけ早く薬剤散布で防除する。
株が込み合って多湿にならないようにするため、間引きが重要。
収穫も早めにする。
害虫
春はアブラムシ、スリップスが、秋はヨトウムシ、ネキリムシが発生しやすいので、早めの防除をする。
収穫
摘み取り収穫の場合
最初の収穫
摘み取り収穫する場合、草丈20cmほどで本葉10枚ほどになったら、下の葉4〜5枚を残して主枝の先端を収穫(摘心)する。
わき芽の収穫
これで主枝の生長が止まり、次々と「わき芽」が出てくるようになるので、わき芽が伸びてきたら、下の葉を1〜2枚ほど残して摘み取って収穫する。
この方法で収穫を繰り返す。
良質のわき芽を次々と出させるには、摘み取り収穫中も追肥を続けることがポイント。
抜き取り収穫の場合
抜き取り収穫の場合は、地際から側枝が次々と伸びだすので、草丈20cmほどになったら、根から株ごと抜き取って収穫する。