ホウレンソウの栽培方法、害虫・病気対策!実写真でわかりやすく!

ホウレンソウの品種・種まき・土作り・植えつけ・土寄せ・肥料・収穫・害虫対策を実写真でわかりやすく解説!

基本情報

冷涼な気候を好み、耐寒性は強く、0℃以下の温度にも耐える。

ビタミンA、Cやカロテンを豊富に含み、鉄、カルシウム、マグネシウムなども多く、和・洋・中のどんな料理にも使える栄養豊かな緑黄色野菜。

なお、アクには、カルシウムの吸収を妨げるシュウ酸が含まれているので、さっとゆでてアク抜きをしてから調理する。

科目 好pH 連作障害 発芽適温 生育適温 発芽日数 発芽光性 日照
ヒユ科 6.5〜7.0 1〜2 15~25℃ 15~20℃ 7~10 なし 半陰性

コンパニオンプランツ

一緒に栽培することで互いに良い影響を与え合う植物の組み合わせをコンパニオンプランツという。

葉ネギ・ワケギ・アサツキ

葉ネギは根に付く微生物が抗生物質を分泌して、ホウレンソウの萎凋病を引き起こすフザリウム菌を退治してくれる。

葉ネギは、ホウレンソウの過剰な養分(シュウ酸)を吸収するので、えぐみが少なくなる。

ホウレンソウは横に広がって生長する一方、葉ネギは縦に伸びるので互いが邪魔にならずによく育つ。

長ネギはホウレンソウと一緒に植えると、土寄せがしづらくなるので、細身のネギ属が栽培しやすい。

ゴボウ

ゴボウは根がまっすぐ下に伸びる直根性の野菜で、栽培前には60~70cmほど掘り下げてよく耕す。

ホウレンソウも主根が深く伸びる直根性の野菜ですので、深く耕した場所で根をよく伸ばす。

アブラナ科・キク科の野菜

ヒユ科(ホウレンソウ)、アブラナ科(コマツナなど)、キク科(リーフレタスなど)は、それぞれに寄ってくる害虫が異なり、異なる害虫(仲間でない害虫)は、互いを嫌い、別種に近づかない性質があるので、野菜全体に寄り付かなくなる。

相性が悪い野菜

スイスチャード、テーブルビート、オカヒジキ、アカザ、シロザ、テンサイ~害虫を呼び合う
地下茎で増えるハーブ類~生長を抑制する

栽培時期

地域や品種により異なるので参考まで。(さいたま市想定)

甘みの強い「寒締めホウレンソウ」にするには、晩秋まきで冬の寒さにあてて育て、2月頃に収穫する。

  3 4 5 6 7 9 10 11 翌1
春まき 種まき~ ~種まき 収穫~ ~収穫            
夏まき         種まき~ ~種まき 収穫~ ~収穫      
秋まき             種まき~ ~種まき 収穫~ ~収穫

品種

葉が厚くてあくが強い西洋種、葉が薄く株元が赤い在来種と、その交配種があります。

東洋種

一般に針種(角種)で、葉肉が薄く、欠刻が3段以上と多い。葉柄の元や根は濃赤色。
葉質がよく、土臭が少ない。
長日に敏感で抽苔が早く、秋まきに使用される。(播種時はトゲに注意)

西洋種

一般に丸種(針種もある)で、葉肉厚く、欠刻が少なく、ちぢみのあるものがある。
葉柄の元や根は淡赤色、土臭が強い。
長日に鈍感で抽苔が遅く、春まき、夏まきに使用される。

F1(一代雑種)

東洋種と西洋種の交配によって育成。
一般に生育が早く、葉肉が厚く、収量が多い。
抽苔は安定したものが多い。

現在出回っている品種は、東洋種と西洋種の優れた点を生かした一代雑種。
また、播種時期の違いなどにより、さまざまな品種が出回っている。

べと病に対する抵抗性、耐病性や耐暑性・耐寒性などを持たせた品種も多くある。

比較的多くの産地で作付けされている「ミラージュ」は夏まき品種であり、「クロノス」や「オシリス」は秋まき品種。

また、一般的なほうれんそう以外にも、生食用のサラダほうれんそうなどがある。
サラダほうれんそうには、「ディンプル」「赤茎ミンスター」「早生サラダあかり」などの品種があります。

2023年はこのホウレンソウ

ダイソーで買った種「強健ほうれん草(ハッピーヒル)」¥55-

 

栽培のポイント

  • 酸性土壌には弱いのでpH6~7に調整する
  • 種子を覆っている皮は果皮と呼ばれ、果肉に相当する。
    果皮が種子内部への吸水を妨げるため、吸水に時間がかかり、コマツナやミズナよりも発芽に時間がかかる
  • ホウレンソウの生育は密植すると立性になり、生育は促進され、疎植になると開性になり、生育はじっくりになるため、栽培時期、収穫時期に合わせて、株間を調整する
  • また、乾燥条件にはよく耐えるが、過湿には弱く、大雨が降りやすい秋の栽培では注意が必要
  • 晩秋まきは、種まき後に寒冷紗か不織布をベタ掛けすると発芽しやすい

畑の準備

土壌の酸性が強い場合は生育が悪く不ぞろいになるので、種まきの2週間以上前に苦土石灰を2~3握り(100~150/1㎡)全面に散布して深く耕しておく。

1週間前に堆肥は約2kg/1㎡、元肥の化成肥料(N:P:K=8:8:8)は2~3握り(100~150g/1㎡)を施しよく耕す。

その後、種まきまでに、畝幅を60~90cm、高さ5㎝(水はけの悪いところでは10~20㎝)の畝を作る。

種まき

まき溝は、深さ1.5~2cm、幅が3cmほどの溝とし、底をできるだけ平らにならす。
そこに種をお互いの間隔が1~2cm程度になるようばらまきし、約1cmの厚さに覆土して軽く土を押さえ、しっかりと水やりをする。
まき溝の条数は、畝幅が60cmでは4条、90cmでは6条程度。

高温期は芽出しまきをする。
種を水に一昼夜浸け、水切りして湿った布で包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫に貯蔵。
1mmほどの根が1割程度の種に出たら種まきする。
発芽しやすいように処理された(プライマックス種子(サカタのタネ)やネーキッド種子(タキイ))種は芽出しは不要。

間引き・追肥・中耕

種まき後、発芽まで乾かないように水やりする。
7~10日ほどで発芽する。

1回目の間引きは本葉1~2枚の時に行い、株間を3cm程度にする。
2回目は本葉3~4枚の時に株間を6cmくらいにする。
間引きは生育の遅いものや、葉形の悪いものを抜き取り、葉と葉が重なり合わない程度にする。

2回目の間引きの後、化成肥料(N:P:K=8:8:8)を1握り(約50g/1㎡)を条間にばらまき、追肥する。
追肥の時、葉に肥料がかからないように注意。

病気

病気では、べと病が気温10℃内外の頃、特に畑が多湿で風通しの悪いところに発生する。
べと病は抵抗性品種を選んで栽培することでかなり防げる。

病害が出たら、できるだけ早く被害葉を取り除いて農薬を散布する。

害虫

害虫はアブラムシ、ヨトウムシ、ネキリムシなどに注意し、早めに駆除。
ネキリムシは有機物を求めて集まるので、堆肥を下方に埋めてまき溝と離すことでかなり防げる。

収穫

草丈が20cm以上に大きくなったものから、順次収穫。

抜き取って収穫すると残った株を傷めるので、ハサミかナイフで根元を切って収穫した方がよい。

ホウレンソウは寒さに強く、霜が降りても繊維がやわらかくなって甘みが増す。
寒冷紗や不織布で簡単なトンネルをかけると、生育を早めたり、厳寒期に葉先が傷むことを防げる。

夏まきや春まき栽培では、品種によってはトウ立ちする株が出るので、トウ立ちする前に早めに収穫。

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