イチゴの栽培方法、害虫・病気対策!実写真でわかりやすく!

イチゴの品種・土作り・植えつけ・肥料・収穫・貯蔵・害虫・病気対策を実写真でわかりやすく解説!

基本情報

イチゴの赤い可食部は花托(かたく)と呼ばれる花の一部で、表面の粒のようなものが果実。
イチゴにはビタミンCや食物繊維だけでなくキシリトールといった珍しい栄養素も含まれている。

科目好pH連作障害生育適温日照
バラ科5.5~6.52~3年18~25℃半陰性

品種

一季なり・・・露地での栽培では、1年に1度、3月ごろから花が咲き、4~6月に実をつける
四季なり・・・春〜秋の長期間にわたって収穫できる
(品種によって、真冬以外はずっと実をつけるものや、夏と秋の2回実をつけるものがある)
以前は、四季なりイチゴは小粒で甘みが少なく、一季なりイチゴに比べておいしくないと言われたが、最近では改良が進み、大粒の品種や一季なりに負けないほどの甘みを持つ品種も増えた。

一季なり

【章姫】
果汁が豊富で酸味が少なく、甘味をしっかり感じられる。
果実は少しやわらかめで口当たりがよい。
[糖度]9.0~10.1度[酸度]0.38~0.69度
【とちおとめ】
ほどよい酸味と甘味があり果汁も豊富。
サイズは大きめで果実がしっかりしている。
[糖度]9.1~10.7度[酸度]0.57~0.74度
【紅ほっぺ】
酸味がやや強め。熟した果実は香りも優れている。
[糖度]8.9~9.7度[酸度]0.64度~0.79度
【おいCベリー
ビタミンCなどの栄養価の向上を目標に開発。
香りがよく瑞々しい。
[糖度]9.4度[酸度]0.67度
【桃薫】
白いちご。
甘味と酸味が調和し、桃に似た香りを持つ。
ココナッツのような香りなども含み風味が豊か。
[糖度]10.0度[酸度]0.79度
【天使のいちご(エンジェルエイト)】
白いちご。
酸味と甘味のバランスのとれた美味しさが魅力。
種が赤く色づいてきたら食べ頃。
[糖度]10.0~15.0度[酸度]0.71~0.73度

四季なり

【とちひとみ】
果重は11gほど、甘みと酸味のバランスがよくおいしい。
夏秋に連続して開花するうえ、花が多く咲き実付きもよく、長期に渡ってたくさん収穫できる。
収穫期は夏の高温期を除き5月から10月まで。
【森の苺】
ヨーロッパの品種で、原名では「フレーズデボア」または「ウッドランドストロベリー」。
小粒で甘くて香りもよくジャムにすると絶品。
ランナーの出ない種から育てるイチゴで、種をまいてから収穫まで1年ほどかかる。
【夏姫】
夏姫は病気に強く丈夫で、実が多くつきやすい。
夏の暑い時期は収穫出来なくなることがあるが、春に植えると初夏から秋、秋に植えると翌年の春から秋にかけて長く収穫できる。
【桃娘】
桃色の花が咲く桃姫は、病気に強く丈夫で実が自然になりやすい。
春に植えれば初夏から秋まで、秋に植えれば翌年の春から秋まで長く収穫できる。
【天使のイチゴ】
天使のイチゴは実が熟しても赤くならないことから「白イチゴ」とも呼ばれる。
病害虫に強いこと、見た目のユニークさなどから鑑賞用としても人気がある。
味は程よい酸味と甘みがあり、生食はもちろん加工用にも適している。
【あまごこち】
糖度が14~16度もあり、一季成りイチゴにも引けを取らない甘さを誇る。
収穫は春と秋の年2回で、病気に強く自然に実がなりやすい、実がたくさんつきやすい。
【めちゃデカッ!いちご】(デルモンテ)
私が育てている品種。果実糖度で優れる品種。甘くて濃厚な味わい。
四季成りで、春、夏、秋に収穫可能。

【ドルチェベリー】(サントリー)
私が育てている品種。パティシエも納得の 「上質な」甘さ。
糖酸バランスが良く、 食味の安定性に優れる。
春~秋まで安定して長く収穫可能。
うどんこ病にも比較的強く、 高温期でも花が続き育てやすい品種。

栽培時期

地域や品種により異なるので参考まで。(さいたま市想定)

3月 4月 5月 6月 10月 11月
春植え(四季なり)   植えつけ~       ~植えつけ   収穫~                   ~収穫
秋植(一季、四季)             収穫~     ~収穫(一季なり) 子株作り~     植えつけ~   ~植え付け ~収穫(四季なり)  

コンパニオンプランツ

一緒に栽培することで互いに良い影響を与え合う植物の組み合わせをコンパニオンプランツという。

ニンニク

イチゴに「程よいストレス」がかかり、株立ちぎみに育ち、風通しがよくなって病気の発生を防ぐ。
ニンニクのにおい成分「アリシン」は殺菌作用があり、根っこには抗生物質を出す微生物が共生するため、萎黄病、炭疽病、灰色カビ病などのイチゴの病気を抑える。
イチゴは、アブラムシとハダニがつきやすい。
アブラムシはウイルス病を媒介するが、ニンニクと一緒だと、アブラムシやハダニが寄り付かなくなる。
ただし、近づけすぎて植えると葉だけが大きくなり花が少なく収穫量が落ちるので20㎝以上は離す。

ネギ類

長ネギの根っこの表面の「バークホーデリア細菌」が抗生物質を出してイチゴの萎黄病を抑える。
ニンニクと同様に、アブラムシやハダニが寄り付かなくなる。

ボリジ

ボリジは アブラムシに吸汁されると信号を発してアブラバチを呼び寄せる。
アブラバチはアブラムシの体内に産卵し、寄生されたアブラムシは最終的に死ぬ。
アブラバチはイチゴに付いたアブラムシにも寄生するのでイチゴが害虫から守られる。
ボリジの葉はサラダ、スープなどに入れて食べられる。
また、青い花は、畑の景観もよくなり、お料理の色どりなど、幅広く利用できる。

畑の準備

植え付け2週間前までに、100g/㎡の有機石灰をまきよく耕す。
苦土石灰よりも有機石灰の方が粒が粗く、ゆっくり土に溶けるのでおすすめ。
植え付け1週間前までに完熟堆肥を3kg/㎡・肥料を100/㎡ほど散布しすき込む。
イチゴの根は肥料に直接触れると傷みやすいので、早めに準備して肥料を土になじませておく。

畝を立てる

畝は一条植えであれば、畝幅60㎝、株間30㎝、高さ15㎝ほど。
二条植えの場合は畝幅を倍程度にするが管理しにくい。
表面をなるべく水平になるようにならす。

植えつけ

苗を植え付けるときは、クラウン(葉の付け根にある茎の根元部分)が地面に埋まってしまわないように植える。
実はランナーがついている部分とは逆の方向につくので、実が付く方向を畝の外側に向けて植えつける。
植え付けが済んだら、たっぷりと水をやる。
市販の苗の多くは親株側のランナーを長めに残している。

真夏の管理​

30℃を超えると花芽がつきにくくなる。
風通しの良いところで管理をし、適宜しげりすぎた古葉を切除、また水切れをおこさないよう注意。
温度の低下とともに再び花芽がでてくる。

真冬の管理​

寒さと泥跳ね防止、乾燥対策のために、根元にわらなどを敷く。
イチゴは一般的に寒さに強く、特に一季なりはマイナス5~6℃くらいまでなら特別な措置は必要ない。
寒さを体験することで、春には花がよく咲くので、必要以上に苗を温めるのは避ける。
ただし、雪に埋もれると、苗が傷むので、ホットキャップなどのカバーをする。
気温が下がり日長が短くなると、クラウン内に花芽を形成し、さらに寒くなると、成長を止めて休眠し、葉を地面に張り付け(ロゼッタ状になる)て、冷たい風から身を守る。
寒さで枯れた下葉や赤く変色した葉は、そのままにしておくと病害虫発生の要因になるため、付け根から取り除く。
また、この時期の花は摘み取って、株を充実させる。
11月ごろになると虫はほとんどいなくなるが、害虫被害が気になる場合は、根元に粒状の殺虫剤をまいておく。
12月ごろからランナーが出てくることがあるが、早い時期に出てくるランナーはハサミで元から切る。

追肥・管理

追肥は2回行い、1回目は11月に根を張らせて越冬させるため2回目は2月に新葉の生長を促すため
1回にイチゴ肥料や化成肥料など(30~50グラムほど)を株元から10~15cm以上離れたところに施す。
液肥を利用すると効果が高くなる。
2月になり2回目の追肥のタイミングで、傷んだ葉や枯れ葉を取り株元をきれいにする。
風通しをよくして苗を清潔に保つことは、病害虫対策としても有効。
追肥を終えたらマルチを張り、地温を上げて花芽の生長を促す。
マルチに穴をあけてイチゴ苗を外に出す。
苗の部分に十字に穴をあけ、苗を傷めないように注意して穴から茎葉を引き出す。
マルチングには、地温を上げる効果と、雨水の跳ね返りを防いで病気や果実の腐敗を防ぐ効果がある。
また、春からは雑草が増えるので、雑草抑制の効果が高い黒色マルチがよい。

人工受粉

イチゴの花は、雄しべと雌しべの両方を備えた「両性花」で、同じ花の雄しべと雌しべで受粉することで実を付ける。
露地栽培では、ミツバチなどの虫や風によって自然に受粉が行われる。
花が早く咲いて訪花昆虫がいないときは、形のよい果実を作るため雌しベに花粉をつける。
花を揺すったり、やわらかい筆の穗先でやさしくなぞって、花粉を中心部の雌しベに受粉させる。
均一に花粉が行き渡るようにすること。
人工授粉の場合はイチゴの形がいびつになることが多い。
きれいな形のイチゴは、ミツバチなどの虫による受粉ではないとできない。

病気

イチゴは、雨の跳ね返りの影響を受けやすくうどんこ病などにかかりやすい。
雨が多いと灰色かび病などになりやすい。
マルチングをした時に、株の周りに敷きわらを敷いてあげるだけでかなり違う。

害虫

害虫はアブラムシ、ハダニ、ナメクジなどが発生しやすいので風通しを良くし、必要に応じて農薬で防除を行う。
ナメクジ対策はビールが有効???

鳥害対策

イチゴは鳥に狙われやすく、果実が熟れてくるとすぐに食べられてしまう。
事前に防鳥ネットをかけるなどして対策。
全体にネットを掛けて予防する場合、受粉を助ける訪花昆虫が出入りできるよう、格子の大きい防鳥ネットを掛けておくとよい。

芽(ランナー)かき・葉かき

葉が混んできたと感じたら、葉かきをおこなう。
花の下の古い葉を中心に取り除くが、取りすぎると良くないので、一株につき8枚は残す。
果実を大きくするためには十分な栄養を与える必要があるので、収穫期に伸びてきた蔓(つる)状の芽(ランナー)は株元で切り取る

収穫

露地栽培では、収穫期間は約1カ月程度(受粉後40~50日?)。
開花から成熟までの日数は温度による影響を受け、積算温度600~700℃で収穫期。
イチゴのヘタあたりまで赤くなり、ヘタも反り返ってきたら甘くなっているサイン。
赤く完熟したものから収穫。ナメクジなどの食害が多いので注意。
いつもやられる。左はナメクジ?右はハサミムシ?が穴から出てきたところ。

着色をよくするためには、果実への日当りをよくすることが必要。
傷んだり、変形した実は早めに取り除いて、キレイな実を育てるのがよい。

子株を作る

イチゴの収穫が終わる6月ごろから、新しいランナーを親株になるまで育て来年の苗を作る
ランナーに根が出てきたら親株から切り離し、植え付ける。
収穫の終わった苗は、翌年も使うと病気になりやすく、実のなる数が減り食味も落ちるので処分する。
親株に残す株の見分け方としては、一番収穫量が多く病気にかからなかったものを選ぶ。
1本のランナーから2株作るので、作りたい子株の数に応じてランナーを伸ばす。
それ以上は必要ないので切ってしまう。
親株から1番目の子株は親株から病害伝播の可能性があるので、苗として利用するのは2番目と3番目

本葉3〜4枚になったら、親株側のランナーを2cmほど(長めに)残して切り、反対側のランナーは短く切って、根を傷めないように掘り上げ、苗床へ植え付け(培養土を入れたポットで)育てる。
こうすることで、苗として植えた時、短く切った方向に花房が出るので、実つきの方向をそろえることができる。
こまめに下葉をかきとり、新しい葉4〜5本の状態を保つようにすると、風通しが良くなり、徒長を防ぎ、クラウンが太くてしっかりした苗に育つ。
夏は朝夕の2度、水やりを行う。
植え付け適期の10月に、できあがった苗を畑に植え付けて、以降は同様の工程を繰り返す。

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