アスパラガスの栽培方法、害虫・病気対策!実写真でわかりやすく!

アスパラガスの品種・種まき・土作り・植えつけ・土寄せ・肥料・収穫・害虫対策を実写真でわかりやすく解説!

基本情報

アスパラガスはビタミンA・B1・B2・C・Eや葉酸などを含む代表的な緑黄色野菜の一つ。
新陳代謝を促進するアスパラギン酸はこの植物から発見されたもの。
独特の風味があり、天ぷら、サラダ、炒め物などに使われる。
アスパラガスには雄株と雌株があり、雄株の方が収穫量が多いが、外見で見分けるのは難しい。
秋になり種が出来た株が雌株(憶えておくしかない)
生育には冷涼な気候が適し、萌芽には冬季に休眠し、十分な低温にあう必要がある。
耕土は深い方がよく、土質は砂質が適している。
栄養を貯蔵する太い根があり、若茎は貯蔵根に蓄えられた養分を使って生長するので、貯蔵根に栄養が十分蓄えられるまで定植後1~2年は株を養成する。
アスパラガスは野菜のなかでも珍しい多年草で、ひとつの株で10年以上も収穫できる。
“鮮度が命”と言われるほど、収穫直後がとにかく美味しい

科目 好pH 連作障害 発芽適温 生育適温 発芽日数 発芽光性 日照
ユリ科 6.0~7.0 連作可 25~30℃ 15~20℃ 15~20日 必要なし 陽性

コンパニオンプランツ

ニンニク、ニラ、ネギ

アリシンなどの成分が病気を予防し、アスパラガスにつくハムシなどの害虫を遠ざける。

トマト

アスパラガスがトマトのセンチュウ被害を抑え、トマトがアスパラガスのハムシ被害を防ぐ。

パセリ

相性が悪い野菜

ジャガイモ
ジャガイモは成長が早く、地中で塊茎(イモ)を大きくするために多くの栄養分と水分を必要とするが、アスパラガスは根を深く広く張り、長期間かけてじっくりと成長するため、土壌の栄養分や水分を巡って激しく競合し、両方の生育が悪くなる。

その他
アスパラガスは比較的広いスペースと深い土壌を必要とするため、根張りが旺盛な野菜や、同じような栄養素を大量に消費する野菜とは相性が悪い。

栽培時期

地域や品種により異なるので参考まで。(さいたま市想定)

4月5月9月10月
植付~
収穫~
~植付植付~~植付
~収穫

品種

グリーンアスパラガス
地上に出た若茎に日光を当てて栽培された、最もポピュラーな種類。
シャキシャキした歯触りと香りが特徴。
ホワイトアスパラガス
若茎に土をかぶせたり、光を当てないようにして栽培されたもの。
グリーンアスパラガスに比べて香りが弱く、独特の甘みとほのかな苦みがある。
紫アスパラガス
表皮にアントシアニンを多く含む。グリーンアスパラガスよりも甘みが強い品種。
加熱すると濃い緑色になる。生食にも適している。
ミニアスパラガス
グリーンアスパラガスを若くして(短く約10cm)収穫したもの。
柔らかく、下処理の手間が少ないため、そのまま調理して使える。

種まき・間引き

種まきは、ポット(9cm)に2~3粒まき、覆土は5mm程度。
その後、たっぷり水やりし、乾燥を防ぐため新聞紙をかける。
発芽後新聞紙を除き、草丈4~5cmくらいの時、草勢が強い芽を1本残すよう、間引き。
育苗中は水やりをこまめに行う。
定植適期苗は本葉3~4枚、草丈15cm程度の大きさ。

苗の準備

種からも栽培は可能だが、収穫までに3年もかかるので「根株」の購入がおすすめ。
根株は何年目のものかを確認してから購入する(2年目の根株は収穫開始が翌年、3年目の根株はその年から収穫可能!)
また、古い根や傷んだ根がないものを選ぶこと。

畑の準備

定植の2週間以上前に1平方メートル当たり、苦土石灰3握り(約150g)を施して耕し、1週間前に堆肥約3kg、元肥は化成肥料(N:P:K=8:8:8)3握り(約150g)を施して耕し、畝を作る。

定植

適期苗をポットの土面が畑面より5cmほど深くなるよう植えて水やりするが、覆土はしない。
追肥は1カ月に1回とします。
株養成のため、晩秋で株当たり茎数は40本、草丈70cm以上を目標とする。
雑草防除と適切な水やりをおこなうこと。

「根株」植え付けの手順

株間40〜50cm、深さ30〜40cmほどの穴を掘る。
株が乾燥している場合は、10分ほど水に浸けて水分を含ませる。
掘った穴に株を置き、根を放射状に広げる。
根の中心にある芽(クラウン)が埋まるように、芽の上5cm以上を覆うように土をかぶせる。
植え付け後、たっぷりと水を与えます。 

植え付ける際に気をつけること

長期栽培が可能なアスパラガスは、最初の植え付けが肝心!
肥料を好む野菜なので、元肥として化成肥料を施しておく。

植え付け後の管理

追肥
追肥は化成肥料(N:P:K=8:8:8)を軽く1握り(約30g)。
追肥と土寄せは1ヶ月に1回の頻度で行い株を育てる。
防寒
晩秋には土を株元に盛って防寒対策をする。
支柱立て
株が成長すると背が高くなるため、倒れないように早めに支柱を立てる。
光をたくさん浴びることができるように、茎葉は大きく広げるようにする。

収穫

初年度は株を大きく育てることを優先し、収穫は控えめ(または行わない)。
2年目以降に収穫を開始。 
収穫量の多い時期は4~6月。次々に芽が出てきて、10月頃まで収穫できることもある。
春のみ収穫する場合、期間は栽培2年目で15~20日くらい、3~4年目で30~40日、5~6年目で50~60日くらいに抑え、その後は次の年のために茎葉を伸ばし、根に養分を蓄積する。
夏秋にも収穫する場合、春の収穫を早めにやめ、立茎をきちんと行い、秋は若茎が発生しなくなるまで収穫する。
アスパラガスは芽が出始めると、数日で茎が20~30cm程度に成長する。
タイミングを逃すと茎が硬くなってしまい、また次の芽も出にくくなるので、どんどん収穫する。
すべての芽を摘み取ると株が弱って翌年の収穫量が減るので、6月以降に出る芽はそのまま伸ばす。
収穫方法
茎が20~30cm程度に成長したら園芸バサミでカット。手で折って収穫してもOK。
“鮮度が命”のアスパラガスはあまり日持ちしないので、食べる直前に収穫するのがおすすめ。
すぐに食べられない場合は横にせず、穂先を上にラップでくるみ、立てて保存すると鮮度が落ちにくくなる。

来年の収穫に向けての準備

秋の終わり頃、地上に出ている葉が枯れたら株元で切って、雑草を取り除く
このとき、お礼肥として追肥と土寄せをする。
芽出しの助けをするために、2~3月頃に化成肥料を5g程度まく。
越冬中も根は生きているので、適度に水やりする。

越冬の準備

切ったワラやもみ殻をかぶせて越冬させる。
ワラの代用として、切った株を再利用することも可能。
凍害による被害に遭わないためにも、寒さ対策を行うこと。

病気

茎枯病(くきがれびょう)
茎枯病とは、茎の部分に褐色の斑点ができ、茎全体に菌が広がっていき、やがて枯れる病気。
土の過湿によるカビの繁殖が原因となりやすいので、水はけのよい土壌に。
植え付け前の土壌消毒が効果的。茎が混みあわないように注意し、風通しを良くする。
秋から冬に向かい、枯れてきた茎葉を畑に残しておくと病気の伝染源となるので、焼却などにより、きれいに片付けること。
紫紋羽病(むらさきもんぱびょう)
紫紋羽病とは、土壌中の糸状菌の一種が原因となる病気。
根が紫色の菌糸で覆われて、根から水や栄養を吸収できず腐敗し、地上に顔を出している茎の部分もやがて枯れる。
伝染源は土壌の中であるため、植え付け前の土壌消毒が効果的。

害虫

アブラムシ類
穂先(先端の部分)にアブラムシがつきやすい。
予防特定防除資材の「酢」が原料の製品の散布がおすすめ。
こまめに確認し見つけ次第駆除する。
コナジラミ類
コナジラミが発生すると、排泄する甘露のついた葉や花の表面にすす病が発生したり、ウイルス病を媒介したりする。
予防特定防除資材の「酢」が原料の製品の散布がおすすめ。
駆除数が少ない場合は、セロハンテープを利用。多く発生している場合は薬剤を使用。
ジュウシホシクビナガハムシ(十四星首長葉虫)
アスパラガスの仲間を好んで食べる害虫として有名。
成虫は体長6~8mmくらいで、身体は赤く、14個の黒い点があることが名前の由来になっている。春になって暖かくなってくると、越冬した成虫が柔らかい先端部分を食べるため被害部分の成長が止まり、茎が変形・変色する。
幼虫の主な発生時期は5~9月。頭が黒っぽく、身体は灰色っぽい緑色のイモムシで、成長した幼虫は体長10mmほど。
春になって暖かくなってくる3月~5月頃に、越冬した成虫が加害を開始するので、この時期によく観察して、見つけ次第、駆除。
幼虫は収穫終盤に見かけるようになる。
幼虫・成虫どちらも有効成分ジノテフラン配合の薬剤の使用が効果的。
成虫が活動する春先の日中の使用がおすすめ。
カメムシ類
それほど被害は多くないが、茎に浅く陥没状の傷があったり、吸汁によって穂先が曲がってしまう。
有効成分ジノテフラン配合の薬剤の使用が効果的。また、見つけた場合は駆除。
ヨモギエダシャク
シャクガの仲間であるヨモギエダシャク。
名前の通り、ヨモギに発生しやすいですが、実際には幅広く食害し、幼虫がアスパラガスの葉を食べることもある。幼虫は淡緑色~褐色で、成長すると6cmほどになる。
見た目が枝と似ているため見つけにくい。大量発生はしにくいので、大きな被害になることはないが、見つけ次第駆除。

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