キュウリの品種・種まき・土作り・植え付け・芽かき・土寄せ・肥料・収穫・貯蔵・害虫・病気対策などを実写真でわかりやすく解説!
基本情報
ヒマラヤ山麓が原産地で、中国を経由して平安時代に日本に入ってきた。
現在我々が食している緑色のきゅうりは実は肥大途中の未熟果で、成熟すると黄色くなる。
完熟したきゅうりは苦味が強くなり、江戸時代末期までは人気がなかった。
水戸黄門こと徳川光圀は「毒多くして能なし。植えるべからず」とまで言った。
幕末にきゅうりの品種改良が行われ、成長が早く歯ごたえや味の良いきゅうりが出て人気の野菜になった。
全体の96%が水分で、カロリーも栄養素も低いが、食べごたえがあり、カリウム成分を多く含む野菜として、ダイエット向きとされる。
日本では生食、漬物に使われる。
中国では煮物や炒め物、トルコやスペインなどはスープの具にする。
日本でも富山など北陸地方ではきゅうりを味噌汁の具にする。
きゅうりの表面にはブルームという白い粉があり、雨や乾燥から身を守るためにきゅうり自身が発する成分だが、農薬と誤認されることから、ブルームレスキュウリという、ブルームのない表面のつやつやしたきゅうりが主流になっている。
しかしこれはブルームの役割を皮全体で行うために皮そのものが厚くなり、また内部が柔らかくなるため、ブルームのあるきゅうりのほうが歯切れがよい。
また、取れたばかりのきゅうりにはイボがあるが、見た目が悪いということでイボのない品種ができたが、このイボは触ってチクチクするぐらいのほうが鮮度が良い。
科目 | 好pH | 連作障害 | 発芽適温 | 生育適温 | 発芽日数 | 発芽光性 | 日照 |
ウリ科 | 5.5~7.0 | 2~3年 | 25~30℃ | 20~25℃ | 4~7日 | 嫌光性 | 陽性 |
コンパニオンプランツ
一緒に栽培することで互いに良い影響を与え合う植物の組み合わせをコンパニオンプランツという。
長ネギ
長ネギの根っこに共生するバークホーデリア・グラジオリーという細菌が抗生物質を出して、土の中の病原菌を減らし、キュウリの萎凋病・立枯病・つる割病といった病気を防ぐ。
また、ネギ類が持つ独特な香りが、キュウリにつくハダニ、ウリハムシを遠ざける。
逆キュウリがネギ類の害虫を遠ざける。
キュウリ、カボチャ・メロン、ゴーヤ、ヘチマなど、根の浅いウリ科野菜に使える。
バジル
香り成分でキュウリにつくアブラムシの他、蚊やハエも遠ざける。
パセリ
キュウリの害虫を遠ざける。株元を覆う事で乾燥を防ぐ。
マリーゴールド
センチュウに効果がある。
相性が良くない野菜
ウリ科、トマトなどナス科、ニンジン、ゴボウ
土壌中のネコブセンチュウを増やし、互いの成長を妨げる。
栽培時期
地域や品種により異なるので参考まで。(さいたま市想定)
6月~気温が十分に高くなれば畑に直播きでOK。
時期をずらして栽培することで、長期間の収穫が可能。
月 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | ||||||||||||||
春まき | 種まき | 植えつけ | 収穫~ | ~収穫 | |||||||||||||||||
夏まき | 種まき | 収穫~ | ~収穫 | ||||||||||||||||||
秋まき | 種まき | 収穫~ | ~収穫 |
品種
イボの種類
イボの種類により、白イボきゅうりと黒イボきゅうりに分かれる。
白イボきゅうり
一般的なスーパーなどに並んでいるきゅうりのほとんどは白イボきゅうり。
四葉(すうよう)きゅうり、四川きゅうり
白イボきゅうりの一種。
表面にシワが寄り、触ると痛いほどのイボがトゲのように出ているが、皮が薄く歯切れがよく、風味が良い。漬物すると歯切れよい漬物になる。
黒イボきゅうり
イボが黒っぽく、春から初夏に収穫する早生品種。
一般的な白イボきゅうりよりも大きめで、きゅうり本来の風味が強く、みずみずしくパリッとした食感があり、古くからぬか漬けに使われてきた。
病気に強い種類
また、病気に強い種類で分けられる。
きゅうりは夏野菜の中でも病気にかかりやすい植物で、とくにうどん粉病やべと病は必ずかかるといっても良い。そのため、これらの病気に強い品種が好まれる。
夏バテ知らず、うどんこつよし
うどん粉病に強い。
シャキット、VR夏すずみ、よしなり
うどん粉病とべと病の両方に強い。
フリーダム
よしなりよりもさらにうどん粉病に強い。
実の成り方
また、実の成り方できゅうりを分類できる。
節成りタイプ
全ての節に雌花がついて実がなる。
早くたくさん収穫できるが、株が疲れやすく長持ちはしない。
飛び節成りタイプ
とびとびの節に雌花がついて実がなる。
最初の収穫は遅れるが、長期間収穫でき、最終的な収量は節成りタイプよりも多くなる。
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種まき
ポット(9cm)まきでは直径3cm、深さ1cmほどの穴を作り、2~3粒をお互いに離してまく。

箱まきでは幅2cm、深さ1cmほどに作った溝に種を1.5~2cm間隔で横向きに並べる。
5mm程度覆土し、軽く鎮圧してから水やりする。
地這い品種の場合は、気温が十分上がってから露地に直まき。
箱・ポットまきは発芽まで25~30℃に保つ。
発芽
4日で発芽した。

間引き
ポットまきでは子葉が出てきたら2本立ち、本葉1枚になる頃に1本立ちにする。
葉が隣どうし触れ合うようになったら、ポットの間隔をあける。
3本とも発芽したので、2本立ちに。(本葉出ているので、もう1本立ちにすべきだった^^)


箱まきでは子葉が完全に開いたらポットに移植。
定植までの育苗期間は30日前後で、本葉3~4枚の苗に育苗する。
この期間、だんだんと温度を下げるように管理し、定植前には20℃程度にする。
日光には十分に当てるようにし、夜間に水分が多いと徒長しやすいので、水やりは朝にする。
畑の準備
キュウリ栽培で大切なのが土。根がしっかり張れば良質なキュウリがたくさん採れる。
2週間前までに苦土石灰約100g/1㎡を全面散布して深く耕し、1週間前に堆肥約2kg、元肥は化成肥料(N:P:K=8:8:8)を150~200gを施しよく耕す。
根は浅く広く張るので、過湿や乾燥に弱く、排水性や通気性が悪い土だとうまく育たない。
また、成長が早く肥料切れを起こしやすいので肥沃さも必要。
根が張りやすいように深さ15cmまでよく耕し、排水性を高めるために高畝にする。
地温の確保と雑草抑えのために黒マルチがよい。
支柱立て
1列で栽培する場合や株数が少ない場合は直立型、2列なら合掌型に支柱を立てる。
つるの伸びは非常に早いので、こまめに支柱やネットに誘引する。
キュウリネットを使用するとツル(巻きヒゲ)が勝手に絡みつく。
キュウリは本来、地面を這って生育する植物なので、支柱に誘引する場合は、地を這う茎葉の代わりに、浅い根を守るために敷きワラや刈草を敷くと良い。
土の乾燥を防ぐと共に、雨による泥跳ねを防いで「べと病」などの病気を抑える。
ワラが厚すぎると、根を好むキュウリは敷きワラと土の間に根を伸ばし、天候による過乾・過湿の影響を受け、生育障害や病害虫の発生原因となるので、ワラは薄めに敷くこと。
植えつけ
本葉が3〜4枚出たら畑に定植。株間50〜60cm。
晴天の暖かい日の午前中に植え付けると、活着がよくなる。
若苗の方が定植後草勢が強くなる。
支柱のそばのマルチにあらかじめ植え穴をあけておき、苗を植えつける。
定植の前にポットごと水につけて吸水させておくか、定植後たっぷりと水をやる。
ポットから苗を取り出す際は、極力根を切らないように注意する。
接ぎ木苗では接ぎ木部分が土に触れないように浅めに植える。
畑に直播きする場合
気温が暖かくなる6月以降、種まきをする。
株間50〜60cmほどで1箇所3粒に点蒔きし、本葉がで始めた頃に間引いて1本立ちにする。
整枝・摘芯
つるから脇芽が生えてくるところを節という。
生育初期に根を十分に伸ばして粘りを良くしておくことが大切なので、下(株元)から第1節、第2節..と数えて、第5節から下(だいたい30センチメートルぐらい)の脇芽・雌花は摘除する。
そしてそれよりも上にある脇芽は子づるとして残す。
また、子づるも、雌花がついたら、その先についている葉を2枚残して、そこから先は摘芯する。(子づるに1〜2果が目安)
また、栽培のしやすさも考えて、親づるはネットの上端か自分の手の届く高さで摘芯する。
すると、親づるの中段あたりから子づるが出てきて収量も増える。
地這い品種は、親づるの本葉5~6枚のところで摘芯し、子づる4~5本を伸ばします。
摘葉・下葉かき
風通しや採光をよくするために、古い葉や下葉を摘除してすっきりさせる。
ただし17節まで成長してからにする。
とくに老化して黄色くなった葉や病害虫に侵された葉は、すぐに取り除く。
ただし、下葉を摘除しすぎると株が弱まってしまうので注意。
追肥
きゅうりは成長が早く、肥料をたくさん必要とするが、一度に大量の肥料を与えると根やけをおこすので、少しずつ何度も追肥をする。
実がなりだした頃に1回目の追肥。
収穫の続いている間は2週間に一度追肥。
追肥の場所は、1回目は株元に、2回目は畝の肩に、3回目は畝の脇に、というように根の成長に合わせる。
追肥の量は1平方メートルあたり約30gが目安。
生育が弱い場合は液体肥料ハイポネックス専用液肥を併用するが、それでも生育が回復しない場合は、負担となっている果実や花を取り除く。
水やり
きゅうりの96%は水分なので、果実の肥大に土壌水分量は大きく影響する。
そのため、果実の肥大期に水分が足りなくなると、果実が大きくならなかったり、変形果を生じやすくなる。
毎朝、畝の肩辺りに水を与える。
病気
雨降りや多湿条件で、べと病、褐斑病、つる枯病、炭そ病などが発生。
乾燥条件では、うどんこ病やダニ類が発生。
害虫
アブラムシはウイルス病を媒介する。
いずれの病虫害も発生したら薬剤による早期防除。
葉の裏にも薬剤をよくかける。
予防には、高畝にして水はけをよくし、マルチや敷きワラで雨の跳ね上がりを防ぐ。
また、適度な整枝や摘葉を行って光を中まで通し、風通しをよくする。
収穫
きゅうりは肥大途中の未熟果を食べるもので、開花後7〜10日後が収穫の目安だが、株につけたままにしておくとあっという間に大きくなって、ヘチマのようになる。
旅行に行っていたら(一番上のやつ^^)・・・

大きくなってしまったきゅうりは養分を種に集めるために、他の実の生育が悪くなるので、こまめに収穫することが大切。
はじめの2、3本は、まだ株自体が成熟していないので、株への負担が大きく、株の成長が阻害されてしまうので、小さいうちに収穫する。
その後は、長さ20〜22センチメートルぐらいになったものを収穫していく。
きゅうりは夜、養分を蓄えるので、朝収穫したほうがみずみずしくておいしい。
また、表面についているトゲは鮮度を守っているので、首の方を持ってハサミで切る。
生理障害
奇形果
株が老化して根の活性が落ちると、先細りや曲がり果が増える。
株が小さい内はわき芽・花芽を摘んで、根茎を充分に発達させておくことが大切。
また、肥料・水分不足が原因の場合もあるので、追肥・水やりは随時。
尚、奇形果は見つけたら早採りして、草勢の回復を図る。
株が疲れた場合には根の活力剤(メネデールなど)や葉面散布剤の施用が効果的。
生理障害の主な原因
- 曲がり果・・・株の老化、摘葉しすぎ、日照不足、肥切れ
- 尻細り果・・・水分不足、単為結果性が低い品種の受粉障害
- くくれ果・・・草勢が低下したときに高温・乾燥が続く
果肉に空洞がある
果肉に穴があくのは、土壌中の水分不足の他、根の張りが不十分、根が傷んでいるために水が吸収できない場合。
キュウリは根の張りが浅く乾燥の影響を受けやすいため、敷きワラなどでマルチングすることで、根を保護しながら土の乾燥を防ぐようにする。