ショウガの品種・種まき・土作り・植え付け・芽かき・土寄せ・肥料・収穫・貯蔵・害虫・病気対策などを実写真でわかりやすく解説!
基本情報
生姜の大きな特徴は、独特の香りや辛み。
肉や魚の臭み消し、お寿司に添えられるガリ、ジンジャークッキーのようなお菓子など幅広い料理で活躍する。
ショウガは、「ジンゲロール」と「ショウガオール」というしょうが特有の成分によって、健康面において、めぐりの改善、活性力の向上、消化・吸収のサポートなどの効果・効能を持つ。
ジンゲロール
ジンゲロールは、生のしょうがに多く含まれている成分で、殺菌作用を持つ。
生魚などの消臭や食中毒予防としても活用されている。
ショウガオール
ショウガオールは、めぐりを改善してポカポカとした温もりを与える成分。
内部から温めることができるため、活性力アップや日々の予防にも効果がある。
科目 | 好pH | 連作障害 | 発芽適温 | 生育適温 | 発芽日数 | 発芽光性 | 日照 |
ショウガ科 | 5.5~6.0 | 4〜5年 | 25~30℃ | 25~30℃ | 30~40日 | 嫌光性 | 半陰性 |
栽培時期
地域や品種により異なるので参考まで。(さいたま市想定)
月 | 4 | 5 | 7 | 8 | 10 | 11 |
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葉ショウガ | 植えつけ~ | ~植えつけ | 収穫~ | ~収穫 | ||
根ショウガ | 植えつけ~ | ~植えつけ | 収穫~ | ~収穫 |
コンパニオンプランツ
一緒に栽培することで互いに良い影響を与え合う植物の組み合わせをコンパニオンプランツという。
サトイモ
ショウガとサトイモは、いずれも栽培期間がほぼ同じで、水分の多い場所を好み、25~30℃ほどの温度で育つので、同じウネに植えつけて一緒に栽培できる。
梅雨の高温多湿の時期にサトイモの葉は大きく広がり、周囲に日陰をつくり、ショウガは、サトイモの葉がつくる日陰で真夏でも土が保湿されよく育つ。
東西ウネで育てる場合、あらかじめサトイモの北側にショウガを植えると、梅雨明けした後の強い日差しがサトイモの葉でガードされ、ショウガがよく育つ。
南北ウネの場合は、サトイモを単独で植える時と同じ株間にして、その間に詰め込むかたちでショウガを植えつける。
ナス
ショウガとナスの組み合わせは、生育促進、害虫忌避、病害を防ぐ効果がある。
ショウガは夏の強い日差しが苦手で日陰のほうがよく育つので、ナスの葉の陰になる場所で育てると、互いの生育がよくなる。
深根タイプのナスは、土の中に根を伸ばして水分を吸い上げ、浅根タイプで水分を好むショウガはナスが深く根を伸ばすことで水分が吸いやすくなる。
ショウガはアワノメイガが付きやすく、ナスはアブラムシやハダニ、フキノメイガの幼虫が付きやすい。
ショウガとナスに付きやすいメイガは互いを避けるため、ナスにもショウガにもそれぞれの害虫が寄りつかなくなり、被害が少なくなる。
ショウガの根の殺菌効果により、土の中の病原菌が減り病気が発生しにくくなる。
有機物は分解してアンモニア態窒素から硝酸態窒素へ変化する。
ショウガはアンモニア態窒素、ナスは硝酸態窒素を好み、ショウガが先にアンモニア態窒素を利用するため、肥料の過剰障害が出にくくなる。
品種・種類
流通しているショウガは4種類に分けられる。
ひねショウガ
ひねショウガとは、茶色くて固い一般的なショウガ。
収穫してから数カ月間貯蔵したうえで出荷される。貯蔵性が高いため、年間を通して流通している。
風味や辛みが強いため、料理の薬味、香辛料として利用。
新ショウガ
新ショウガは、一般的なショウガよりも繊維質がやわらかく水分が多い。
そのため、風味や辛みはひねショウガよりもマイルド。
新ショウガは、6~8月末頃にしか手に入らない。
みずみずしいシャキシャキとした歯ごたえを楽しめるので、生で食べるのがおすすめ。
葉ショウガ
葉ショウガは、根茎がまだ小さいうちに葉が付いた状態で採ったもの。
新ショウガと同様に初夏に流通する。
辛みが少ないため、茎をつけたまま味噌につけて生で食べられる。
また、甘酢漬け、しょうゆ漬け、天ぷらにしても美味しく食べられる。
筆ショウガ(矢ショウガ)
筆ショウガは葉ショウガの一種。焼き魚に添える「はじかみ」に使われる。
根茎が小さくやわらかい状態で収穫する。茎が鮮やかな色をしているのが特徴。
塊茎の大きさに着目して、大ショウガ、中ショウガ、小ショウガに区別することもできる。
小ショウガは辛みが強く大ショウガは辛みが弱いのが特徴、中ショウガはその中間の辛さ。
どの種類を栽培するかは利用目的に合わせて選ぶ。
葉ショウガや筆ショウガを収穫したい時は小ショウガや中ショウガを利用する。
小ショウガ
生育が早いが1株で300~400gしか収量がない。
中ショウガ
大ショウガよりも生育が早く1株で500~600gの収量。
大ショウガ
収穫までの期間が長く1株当たり800~1,000gの収量がある。
代表的な品種
生食が美味しい「三州」、辛みが強い「金時」、葉ショウガ用の「谷中」など。
うちのショウガ
初めての2023年は、カインズで苗で買った大ショウガ。
2024年もカインズで買った大ショウガ(種ショウガ)。


種ショウガの準備
種ショウガは、4月頃になると種苗店やホームセンターで販売される。
ショウガは、種ショウガの良し悪しで初期育成が決まるので、充実したものを購入することが重要。
カビや傷がない、変色していないもので、みずみずしさがあり、色ツヤの良いもので、芽がついているものを選ぶと良い。
苗を選ぶ時は、黄色が鮮やかで色つやが良く生き生きとして病気に掛かっていないものを選ぶ。
ショウガは育苗期間が1.5~2か月と長いので、発芽済みの種ショウガから育てると手軽でおすすめ。
畑の準備
植えつけの2週間前に苦土石灰100g/㎡を畑にまいて耕しておく。
植えつけの1週間前までに堆肥3㎏/㎡・化成肥料100g/㎡を全面散布して良く耕す。
畝作り
ショウガは多湿を好むため、高畝だと用土が乾燥しやすくなるので、幅60㎝で高さ5~10㎝と低めの平畝が適している。(高畝で横溝を10㎝位とる、説もあり)
植えつけ
ショウガの植えつけは気温が高くなる4月下旬〜5月上旬、地温が15度以上になってから。
大きいものは1片が50g前後の大きさになるように手で割る。
初期育成は種生姜の養分で育つため、あまり小さすぎるとうまく育たない。
また、種生姜が大きいと1株も大きく育つが、大きすぎても収穫量は変わらないので、芽を3つほどつけて1つの種ショウガを50g程度にするのが一般的。
割った種ショウガは日光に2日ほど当ててから植えつけると発芽しやすくなる。
株間30cmで深さ10~15cmの植え穴を掘り、芽が上を向くように植えつける。
(10cm間隔で植えれば、間引きを兼ねて葉ショウガとして収穫できる。)
ショウガは深植えしないことが発芽率を上げるポイント。
種ショウガの上に土を盛り、手のひらでしっかり押さえて鎮圧し、たっぷりと水をやる。
芽出し
ショウガは発芽までに時間がかかり、植えつけ後、地面から芽が出てくるまでに1カ月以上かかることも。
そこで、種生姜を購入したら、芽出しをしてから植えることもひとつの方法。
大きな種生姜は分割して50g程度に分け、育苗箱などに並べ、土をかぶせたら日の当たる暖かい場所へ置き、発芽を待つ。
乾燥しないように水やりを欠かさず行い、芽が10cm程度まで伸びたら畑へ植えつける。

日よけ
ショウガは乾燥を嫌うので、夏は株元に稲ワラや刈草で「敷わらマルチ」をして土の乾燥を防ぐ。
また、適度な日陰を好むため、真夏の強い日差しがある時期は「遮光ネット」で日除けをして直射日光から守る。
追肥・土寄せ
追肥と土寄せをセットで、夏までに計3回行う。
1回めは草丈15cmくらい、2回目は草丈30cmくらい、3回目はさらに1か月後に。
ショウガは下にまっすぐ根を伸ばすので、追肥は株元に化成肥料を30gほど施し、土を被せる。
水やりを兼ねて週に1回薄めた液肥を与えると生育がよくなる。
病気
ショウガ栽培においては根腐腐敗病や白星病などの病気が発生。
病気の症状と防除方法。
根茎腐敗病
最も注意しなければならない。
特に葉が黄化して悪臭を放つ根茎腐敗病に掛かると致命的。
万が一病気が発生した時は発病株と周辺の土を畑の外に持ち出して処分する。
モザイク病
症状、対策、予防法などはコチラ。
立枯病
症状、対策、予防法などはコチラ。
青枯病
症状、対策、予防法などはコチラ。
害虫
株が大きくなると被害は深刻にはならないが、幼苗期に被害に遭うと苗が全滅することもあるので注意。
アブラムシ
症状、対策、予防法などはコチラ。
センチュウ
ヨトウムシ
症状、対策、予防法などはコチラ。
メイガ
収穫
夏から秋にかけて、いろいろな収穫ができる。
筆ショウガの収穫時期
筆ショウガの収穫時期は新芽が3~4枚ついた6月~7月頃。
新芽をかき取って収穫する。
新芽の出る量が少なくなったら収穫をやめ、根ショウガ用に茎葉を残しておく。
茎葉が少ないと根ショウガが小さくなってしまう。
葉ショウガの収穫時期
筆ショウガの次は葉ショウガが楽しめる。
葉ショウガとは7月~8月に新芽の株元につく新しい細いショウガのこと。
株元が赤くなって葉が7~8枚になり根が肥大し始めた頃が葉ショウガの収穫適期です。
葉ショウガは株ごと引き抜くか根ショウガとして育てる場合は必要な新芽だけを種ショウガが接する部分からハサミなどで切って収穫する。
根ショウガの収穫時期
根ショウガの収穫は10月~11月頃。
葉先が枯れて黄色くなってきた頃が収穫のタイミング。
収穫してすぐは「新生姜」として、しばらく乾燥させると「ひね生姜」として味わうことができる。
株元から20㎝ほど離れた位置にスコップを入れ根の下から株ごと掘りあげて収穫する。
新ショウガは初霜が降りる前までに収穫した方が美味しく食べられるが、次の霜が降りる前後までは収穫できる。
植え付けに使った古い種ショウガは、すりおろし用のショウガとして薬味に利用できる。
天気のよい日に収穫し、健全で無病な根茎を掘りとったら、品質保全のため、直ちに茎を切りとって、直射日光と風にさらされないようにする。
ショウガの保存・貯蔵方法
売っている薬味として使うショウガは、収穫したてのみずみずしい新ショウガに比べ、固くて繊維質で辛味が強い。
これは、新ショウガを数ヶ月保管して寝かせたもの。
ショウガの保存にはコツがいる。
生姜の保管に最適な温度は13~15度、茎と根は切り落とす、土がついたまま保管する(できるだけ割らずに塊のまま)、保管温度が高いと芽が出て、低いと傷む、乾燥にも弱いため湿度は高く保つ。
土に埋める
20cmほど土を掘り下げてもみ殻を敷き、その上にショウガ同士が触れないように横倒しに並べ、土を2cm以上かぶせる。
その上にショウガを並べて繰り返し、最後にもみ殻をかぶせたら、土を10cm以上盛り上げ、雨よけを兼ねてワラや落ち葉、枯れ草で覆う。
発泡スチロール箱に密封
発泡スチロール箱に新聞を敷き詰め、ショウガ1塊ずつを新聞紙に包んで水に濡らす。
それを発泡スチロール箱に並べて、蓋をガムテープで密封し、涼しい部屋で保管。
2ヶ月ほどして開封すると色が若干黒くなり、薬味として使える「ひねショウガ」に。
ショウガの保存は温度・湿度などの条件がシビアで、ベテラン農家でさえ失敗してしまう。
来年の種生姜として使う場合は、植え付け時期までの長期間保存することになるので難しい。
少量なら買った方がいい。