ジャガイモの品種・土作り・植え付け・芽かき・土寄せ・肥料・収穫・貯蔵害虫・病気対策を実写真でわかりやすく解説!
基本情報
栽培の手間があまりかからず、春と秋の年2回栽培できる。
ジャガイモは茎が肥大化したもの(塊茎)なので、種芋よりも上につき、地表に出やすい。
科目 | 好pH | 連作障害 | 発芽適温 | 生育適温 | 発芽日数 | 発芽光性 | 日照 |
ナス科 | 5.5〜6.0 | 2〜3年 | 10℃ | 15~20℃ | 2~3週 | なし | 半陰性 |
栽培時期
地域や品種により異なるので参考まで。(さいたま市想定)
月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | ||||||||||||||||||||
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上・中・下旬 | 上 | 中 | 下 | 上 | 中 | 下 | 上 | 中 | 下 | 上 | 中 | 下 | 上 | 中 | 下 | 上 | 中 | 下 | 上 | 中 | 下 | 上 | 中 | 下 | 上 | 中 | 下 | 上 | 中 | 下 | 上 |
春作 | 種イモ植つけ~ | ~種イモ植つけ | 収穫~ | ~収穫 | |||||||||||||||||||||||||||
秋作 | 種イモ植つけ | 収穫 |
植えつけ時期の目安
浴光育芽(浴光催芽)
2週間~1ヵ月(3~5mmの芽)→植付け→3~4週間で発芽=桜の咲くころ
さいたま市の場合(2024年)逆算!
桜開花予測:3/27←植えつけ:2/27~3/6←浴光育芽:1/27~2/6頃?
雨が続き、結局植えつけが3/15になった。
品種は何がいい?
男爵
味わい・食感:果肉は白っぽく粉質が強く、加熱するとホクホクとした食感。
おすすめ料理:フライドポテト、ポテトサラダ、ジャガバター
注意:煮ると崩れやすい
メークイン
味わい・食感:果肉は少し黄色っぽい白で、肉質は粘質。舌触りはなめらかでほんのりと甘味がある。
低温で貯蔵すると更に甘味が増す。
おすすめ料理:カレー、おでん、グラタン
注意:揚げ物は糖分が多いため適さない
キタアカリ
味わい・食感:果肉は黄色く、肉質は粉質で、加熱調理するとホクホクした食感に。
男爵よりも甘味が強い。
おすすめ料理:フライドポテト、ポテトサラダ、ジャガバター、粉ふきいも
注意:煮ると崩れやすい
ジャガイモの分布

コンパニオンプランツ
近くに同じナス科の野菜があると病害虫が増え、キャベツがあると他感作用(アレロパシー)が起こってジャガイモの生育が悪くなるため、これらの野菜とは離して植える。
種ジャガイモの選定と保管
植え付ける時の種芋の大きさは、1片40〜60gが目安。
大きすぎると抵抗力が弱く、病気に感染しやすくなる。
春作では種芋を切り分けて使うことができるが、秋作では地温が高いので、切ると腐りやすくなるので、小さめの種芋を選んで、丸ごと植えつける。
また、さいたまでは2月下旬から3月が一般的な植え付け時期なので、購入後保管しておく必要がある。
種ジャガイモは乾燥、通気不足、濡れなどに注意して涼しい環境(2℃以上)で保管する。
植え付け場所
前作で同じナス科のトマトやナスを栽培した畑や、ホウレンソウ等を栽培して石灰が多くなっている畑は避ける。
土作り
十分に根を広げて養分を吸収できるよう、深さ25cm〜30cmに耕す。
茎葉がかなり広がるので、株間30cm、畝幅50cmを確保して畝を立てる。(1条植えの場合)
水はけの悪い畑では、種芋が腐ったり根腐れを起こすことがあるため、高畝にして水はけをよくしておく。
pHは5.5〜6.0が目安。
pH7.0以上になると「ソウカ病」が発生してしまうので、石灰のやりすぎに注意。
アルカリ土壌を酸性にするには「ピートモス」など改良用土や「硫安」「塩安」「硫加」などの酸性肥料を入れる。
また、米ぬかを薄くまくとソウカ病対策になるらしい。
植え付け準備~浴光育芽(芽出し)
植え付け前に芽出しを行ったほうが、安定した収量・品質が得られる。
方法は、種いもを明るい乾燥条件下で加温(6~20℃)して萌芽を促し、光を当てて3~5mm程度の丈夫な芽を育てる。
・新聞紙などを敷き汚れ防止、底冷え防止をする
・浅いダンボールや発泡スチロールなどに芋を並べて日に当てる
(縁側などで直射日光を当てる暑くなりすぎるので、カーテン越しなど柔らかい日差しで
・たまにひっくり返して全体に芽がでるよう促す(1ヶ月中に2、3回でOK)
・夕方〜夜間は取り込みダンボールや新聞紙で腐らないよう保管する
・白く細いもやしのような芽ではなく、濃い緑や紫色の太い芽になれば良い
(芽の色は黒っぽいモノや緑色、紫色など品種によって異なる)
・太く短い芽が5㎜出ていれば充分。
・これを植えつけの2〜3週間~1ヶ月ほど前から行う(品種により期間が違う)
光に当てることで種ジャガイモも緑化するが、食用には有毒でも種ジャガイモとしては問題ない。
その後、大きい種ジャガイモは1片が30~60g程度になるように、かつ、各片に正常な芽が複数個均等につくように切り分ける。

30g以下の小さい種ジャガイモは切らずにそのまま使う。
芽は頂部に多いため、縦に切り分けるようにする。
病気の蔓延を防ぐため切断に使用する包丁はできるだけ毎回消毒する。
切った種いもは、切り口がぬれていると腐りやすいため、風通しが良い場所に2〜3日置いて切り口を乾かす。
植え付け直前に切り分け作業をした場合は、切り口に「じゃがいもシリカ」や「草木灰」をつけて植えると、植え付け後の腐敗を防ぐ効果がある。
(「草木灰」はアルカリ性になるので「シリカ」の方が良い)
秋作の場合は種ジャガイモが腐りやすいため、切らずにそのまま使う。(小ぶりの種芋を選ぶ)
植え付け
ジャガイモはあまり早く植え付けすると、地温が低く芽が伸長してこない可能性があり、植え遅れるといもの生育期間を十分にとれず、大きくならなかったり、生育後半に病気になり収量が減る可能性がある。
植え付けは株間30cmで深さ10cmの穴を掘り、切断面を下(または逆さ植え)にして植え付ける。

逆さ植えについて
ジャガイモは通常、切口を下に向けて植え付けるが、逆さに植えることで病気に強いジャガイモが育つ。
種ジャガイモの芽は表面に付いているため、切口を下にする普通の植え方だと、芽は自然に上に伸びて成長する。
一方、逆さ植えにすると芽は一度下に伸びた後、上へ向かって伸びることになり、弱い芽は成長を止めて強い芽だけが生き残る。
このストレスによって、株全体の抵抗性が高まり、病害虫に強くなる。(らしい???)
また、通常植えに比べて、芽の数は少なくなるので数は減るが、生育旺盛で大きなジャガイモが多くなる。(らしい)
芽が出た!
3月7日に植えつけたので、17日後に芽が出たことになる。

芽かき(間引き)
芽が伸びて草丈10cmくらいになった頃、1つの種ジャガイモから芽が多く出ていたら、生育のいい1〜2本を残して芽かきを行う。
4月9日のうちの男爵。多すぎるので2本まで芽かきした。

芽かきの際には、種芋ごと引き抜いてしまわないように、株元の土を押さえながら行う。
芽の数が多いと養分が分散し、イモが小さくなるので芽かきをするが、あえて芽かきせず、大小さまざまなジャガイモを収穫して楽しむのもアリ。
このタイミングで1回目の土寄せと追肥をしてもOK。
化成肥料を横に播いて、軽く土寄せした(カリが多いボカシ肥が良かった!)

まだ小さな草丈のものは大きくなってから芽かきをすればよい。
ジャガイモ増収のポイント!
芽かきしたジャガイモは、別の場所に植えておけばジャガイモができる。
2025/4/4と4/14に芽かき分を植えつけた様子。


6/1には定着して大きくなっている。

土寄せ
土寄せは2回に分けて行う。マルチ栽培は、土寄せの必要はない。
しっかり土寄せしないと雨風で倒れてしまう&たくさん・大きなイモが出来ない。
ジャガイモ栽培では土寄せが最重要!
1回目
草丈が15cmくらいに生育した頃、1回目の土寄せとして株元を中心に5cmほど土を盛る。
土寄せと同時に、株元に追肥を施す。
ジャガイモの肥大期にカリを施肥すると、良質のデンプンができて美味しくなるため、追肥は「ボカシ肥」などでカリを中心に。
2回目
1回めの土寄せから2〜3週間後に、2回目の土寄せで5cmほど土を盛る。
土寄せが不十分だと、ジャガイモが露出して緑化する原因となる。
他にも、土寄せは、地温・水分条件を調節して生育を促す。
土寄せは適宜行い、ジャガイモの表面が光に当たらない様に注意する。
ジャガイモに日光が当たると、皮が緑化して有毒なソラニンが生成される。
ソラニンは、吐き気や腹痛、頭痛などを引き起こす。
花は摘む?
花が咲く頃に、土中のジャガイモが太りだすので、花に養分がとられないように、花は見つけたら摘んでおくのが良いらしい。
摘んだところから病原菌が入らない様に摘まない方が良いという説もあり・・・
だが、うちの母に聞いたら(農家)「ほっといていい」と言っていたのでどちらでもいいようだ。
2023年もモザイク病が出たので、来年からは摘まない方向でいく!
左:メークインの花は紫色で、右:男爵の花は白色だ。


病気
モザイク病、青枯病、そうか病、軟腐病などになりやすい。
症状と対処法などの詳細は以下のリンク先へ。
モザイク病
青枯病
そうか病
軟腐病
生理障害
ジャガイモの中が黒い!
大雨で畑が冠水したため?天日干しを1日もしたため?


黒色心腐病(こくしょくしんぐされびょう)
ジャガイモに黒い筋などが入るのは、生理障害の一種で、生育期間中に冠水などで、酸素が不足すると黒変する。
食べても害はないが、苦みなどを生じることがあるので、黒い部分を取り除いて調理する。
褐色心腐病(かっしょくしんぐされびょう)
黒色心腐病と同じように、ジャガイモの中心部が茶色く変色してしまう。
褐色心腐病の主な原因は水分不足による細胞の枯死。
ジャガイモの栽培中(肥大期)に地温が高くなることにより土壌が乾燥し、それにより水分不足となり細胞が枯死し、変色してしまう。
変色している部分を食べても害はないが、心配なら切り落として調理する。
収穫
茎葉が黄色くなり、枯れて倒れてきたら収穫の適期。
大体、植え付け後90日から100日が収穫期。
茎葉が枯れ出す前に収穫すると皮が薄くてみずみずしい「新ジャガ」。
地上部が枯れるまでおいて収穫すると保存性が高い「完熟ジャガイモ」に。
雨が降っていたりするとジャガイモが保存中に腐りやすくなるため、2~3日天気がよく土が乾いている日に掘り上げる。
最近は、掘り上げる当日は曇りがベスト。日差しが強い日だと数時間で腐ってしまう。
春作では梅雨の前に収穫するのが良い。
ジャガイモの収穫を梅雨入り前の6月中旬に開始するには、定植は2月下旬から3月初旬。
早春の植え付けではマルチを使い地温や湿度を安定させて。
収穫時も、マルチ内部は乾燥しやすく、長雨でない限り収穫作業を行えるというメリットがある。
ただ、マルチ内部は高温になりやすく、収穫が遅れると傷みやすくなるので採り遅れには注意。
ジャガイモを傷つけないよう、株元から少し離れた位置にスコップをさし、土を掘り上げ、茎を持ちながら収穫。
皮が剥がれると傷みやすくなる。
掘りあげた後、土の中にイモが残っていないように採り忘れないようにする。(結構残ってしまう。後日発見すること多し。)
貯蔵
1週間くらい雨のあたらない所で陰干しして、腐ってくるジャガイモは取り除く。
残ったジャガイモをダンボールなどに詰めて暗くして保管。
洗うと保存性が落ちるので洗わないで保管する。
秋ジャガの栽培
2024年、春に収穫したシャドークイーン、ピルカ、トウヤを使い秋ジャガの栽培に挑戦!
9月20日に芽出しをしたジャガイモと間に油かすを肥料として置いた。


11月30日
霜が降りる前に・・・と思い一部収穫。
シャドークイーンが十分な収穫量だ。


ピルカとトウヤは1個ずつだったが、植え付けが遅すぎたからか生長しきれなかった。
もっと早く植えつければ冬前に収穫できるか・・・