サトイモの栽培方法、害虫・病気対策!実写真でわかりやすく!

サトイモの品種・種まき・土作り・植え付け・芽かき・土寄せ・肥料・収穫・貯蔵・害虫・病気対策などを実写真でわかりやすく解説!

基本情報

原産地は東南アジア。
日本で食されてきた歴史は古く、縄文時代に中国から伝わり、江戸時代まで芋類の主役だった。
東北地方では晩秋になると各地で「芋煮会」が開かれ、具材の主役となっている。
サトイモの主な成分はデンプンとタンパク質。
他に食物繊維、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB6、葉酸、カリウムなど。
サトイモはイモ類の中でも低カロリーで、100g当たり58kcal。
サトイモ独特のぬめりはガラクタンという糖質とたんぱく質が結合したもので、血圧を下げ血中のコレステロールを取り除く効果があり、ぬめりにはムチンも含まれ、体内に入るとグルクロン酸という成分に変わり、胃・腸壁の潰瘍予防・肝臓強化に役立つ。
食物繊維も豊富なので、便秘改善にも。
大きくなった親イモに子イモが、さらに孫イモが多数ついていることから、子孫繁栄のシンボルとして正月料理にも使われ、縁起食として古くから親しまれてきた。

科目 好pH 連作障害 発芽適温 生育適温 発芽日数 発芽光性 日照
サトイモ科 6.0〜6.5 3~4年 15~28℃ 25〜30℃ 30日~ 嫌光性 半陰性

栽培時期

地域や品種により異なるので参考まで。(さいたま市想定)

10 11
栽培作業 芽出し 植えつけ~ ~植えつけ 収穫~ ~収穫

コンパニオンプランツ

一緒に栽培することで互いに良い影響を与え合う植物の組み合わせをコンパニオンプランツという。

ショウガ

ショウガとサトイモは、いずれも栽培期間がほぼ同じで、水分の多い場所を好み、25~30℃ほどの温度で育つので、同じウネに植え付けて一緒に栽培できる。
梅雨の高温多湿の時期にサトイモの葉は大きく広がり、周囲に日陰をつくり、ショウガは、サトイモの葉がつくる日陰で真夏でも土が保湿されよく育つ。
東西ウネで育てる場合、あらかじめサトイモの北側にショウガを植えると、梅雨明けした後の強い日差しがサトイモの葉でガードされ、ショウガがよく育つ。
南北ウネの場合は、サトイモを単独で植える時と同じ株間にして、その間に詰め込むかたちでショウガを植えつける。

ダイコン

サトイモの日陰を利用して、夏でもダイコンを栽培することができる。
また、サトイモとダイコンそれぞれの生育促進の効果も。
ダイコンが日陰になるように種まきする。
東西ウネでは、サトイモの日陰になるように、北側にダイコンの種をまく。
南北ウネでは、サトイモの株間に種まきする。
また、梅雨明けに土が乾かないように、早めに敷きわらなどでウネを覆って保湿する。

パセリ・セロリ

サトイモの大きく広がった茎葉が日よけになる。
またサトイモの葉が雨を集めて株元に落とし、常に湿度が保たれる。
セロリは自然に株立ち気味に育って葉柄部分がやわらかくなる。
パセリは苦みが抑えられる。
また、セロリとパセリはセリ科で強い香りをもっており、サトイモと一緒に栽培することで、サトイモに付くアブラムシやハスモンヨトウなどを寄せ付けない効果がある。

トウモロコシ

サトイモとトウモロコシを一緒に栽培すると、空間を利用しながら互いの生育が促進する。
トウモロコシはこれ以上明るくなったら生長の速度が上がらなくなる’光飽和点’がなく、強い日光を浴びるほどよく育つ。
一方でサトイモは、真夏の強い光が苦手で生長が鈍るため、やや日陰のほうがよく育つ。

品種

サトイモは植え付けた親芋(種芋)の上に子芋、孫芋ができる。
品種により食用とする芋が違い、大きく3つに分かれる。

子芋専用種

親芋があまり大きくならず、子芋がたくさんできる子芋専用種は子芋のみを食べる。

土垂(どだれ)

葉の先端が長く伸び、地上に垂れ下がることからこう呼ばれる。
ぬめりが多く美味しい。煮物におすすめ。

石川早生(いしかわわせ)

子芋のつきがよく肉質は緻密で多収性。粘り気が強く、とても美味しい。
極早生品種。芋煮会やおせち料理で活躍。

親芋専用種

親芋が大きくなり、子芋が少なくあまり大きくならない親芋専用種は親芋のみを食べる。

筍芋(たけのこいも)

たけのこと似ていることからこう呼ばれる。
きめ細かくしっかりとした肉質で煮崩れしにくい。

親子兼用種

親子兼用両方の特徴を持ち、親芋も大きくなり、子芋専用種に比べると少なくなるが、子芋もできる。
親芋、子芋ともに食べることができる。

セレベス

芋の収穫が多く、親芋と子芋ともに大きい。サトイモ独特のぬめりが少なく、肉質はしっかりしている。

八つ頭(やつがしら)

ヌメリが少なくあっさりした味わい。末広がりの八から縁起物としておせち料理に使われる。

うちの2023年は「土垂」と「セレベス」

初めてのサトイモは「土垂」と「セレベス」の苗からにした。
真ん中にコンパニオンプランツのショウガも一緒に。

2024年は「セレベス(赤芽)」と「土垂れ」

種芋の準備

種イモは、栽培時期になると種苗店やホームセンターで販売される。
ふっくらとして形が良い、芽が傷んでいないものを選ぶ。

貯蔵していたイモを使う場合

貯蔵しておいたイモを掘り起こし、親イモと小イモをばらして植えつける。
一番大きいのが親イモ。
一般的には、サトイモは小イモを種イモにするが、親イモも種イモに使える。
親イモは貯蔵養分が多いため、初期の育成が旺盛で新しい親イモが早く大きく育ち、子イモや孫イモのつきも良くなる。
親イモを使う場合は芽を下に向けて逆さ植えにする。

催芽(芽出し)

植え付け前に、種イモの芽を出させておくことを催芽という。
サトイモはそのまま畑に定植できるが、サトイモの種イモは、そのまま植え付けても地温が上がらないうちは発芽のスイッチが入らないので保温して芽出しを済ませるとよい。
催芽すると、芽が出ないで腐ってしまう欠株がなくなる、成長が揃うので管理しやすい、初期成長が早まることで生育期間が長くなりイモの太りが良くなる、などいいことがたくさん。
催芽するには、プランターやポットに種芋を仮植えし、ビニールハウスなど暖かい場所で育てる。
種イモの芽を上にしてポットに入れ、種イモが隠れる程度に土をかぶせて、たっぷりと水をやる。
以降、土が乾いたら湿らす程度に適宜水やりを行う。
3月中旬頃に芽出しを始めれば、1ヶ月ほどで発芽する。
2024年は暖かい室内に置いて芽出しをした。

畑の準備

鶏ふん200g/㎡、牡蠣殻石灰100g/㎡をまいて耕してレーキで均す。
サトイモは水分を好み、水もちのいい粘土質の土がよい。
とはいえ、水はけが悪すぎる場合は病気が出やすくなるため、水が溜まるような畑では高畝にする。

植えつけ

サトイモは寒さに弱いので十分に暖かくなってから植えつける。
70~80cmほどの幅の畝(2条植えの場合は畝幅を100cm程度)を作る。
株間は30~40cm程度(親芋の場合は50㎝)あけ、(逆さ植えの場合、お尻から)7~8cm位土がかぶるように植えつける。
植付後に水やりは必要ない。
植えつけ後に黒マルチを張ると、発芽が促されて初期育成がスムーズになる。
マルチを張ると、逆さ植えの場合、通常よりも下にイモができるので土寄せも必要なくなり、雑草防止、乾燥防止にもなるのでおススメ。
3週間ほどで芽が出てくるので、マルチを持ち上げてきたら早めに破って芽を出してあげる。

芽かき

植え付けから1カ月ほど経った頃、2本以上の芽が出てきたら、勢いのある芽を1本のみ残して、他の新芽はすべて引き抜く。
親イモを植えた場合は必ず複数本の芽が出てくるので、早めに1本のみを残す。
この芽かきの作業をすることで、株が充実する。
芽かきは1回のみにし、この後から出る芽はそのままにする?土寄せで埋める?
サトイモは、親イモ→子イモ→孫イモとイモを殖やし、それぞれから芽が伸びてくるので、芽を伸ばしたままにすると、細長くて質の悪いイモになるので、わき芽はかき取るか、土寄せして埋める。

水やり

根づいた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要。
ただし、真夏に雨が降らず乾燥が続く場合は水やりをする。
真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与える。
サトイモは、もともと湿地に自生していた野菜なので水分を好むので、夏の乾燥時には株元にたっぷりと水やりを行う。
土の乾燥を防ぐために、株元に稲ワラや刈草で「敷わらマルチ」をしておくとよい。

追肥・土寄せ

サトイモは暗い場所でないと十分に肥大しないため、土寄せが不可欠。
少しずつ畝を高く盛り上げて、イモを太らせる。
さらに吸肥力が強く、栽培期間も長いので、肥料切れは禁物。
株が大きく育ったら、2回の追肥と、3回の土寄せでイモを肥大させる。
土寄せが不十分だと、子イモや孫イモの茎葉が地上に繁茂し、イモの数は多くなるものの肥大が悪くなる。

1回目

本葉が開いて勢いよく伸び始める5月下旬〜6月中旬に、1回目の追肥と土寄せ。
畝の片側の裾に追肥し、5-6cmの高さまで畝の両側から土寄せする。

サトイモ 土寄せ

2回目

6月下旬〜7月上旬に、2回目の追肥と土寄せ。
1回目と反対側の畝の裾に追肥し、畝の両側から7-8cmの高さに土寄せする。

3回目

2回目の土寄せから2〜3週間後に、3回目の土寄せ。(追肥はしない)
2回目と同程度の厚さで土寄せを行う。
わき芽(子イモの葉)が伸びてきたら、小さいうちに倒して土寄せして埋めてしまう
子イモ、孫イモが肥大する時期なので、この時期の土寄せが大切。

病気

ほとんど心配ない。

害虫

家庭菜園では薬剤散布を減らすために、木酢液を散布して病害虫対策をすることがあるが、サトイモは葉が酸性に弱い性質があるので、使用しないこと。

アブラムシ

症状、対策、予防法などはコチラ

ハスモンヨトウ

症状、対策、予防法などはコチラ

収穫

11月頃になると収穫時期。(品種による)
葉が枯れ始めた頃が収穫の目安。
地ぎわで茎を切り取り、イモを傷つけないよう株のまわりを大きく掘り起こして収穫する。
収穫したら、親芋から小芋を外し、土と根を落としてキレイにする。(貯蔵性が下がるので水洗いしないこと。)
品種によって、親芋を食べるもの/食べないものなど、食用部位が異なる。
サトイモは低温に弱いので、収穫後は冷蔵庫に入れず、新聞紙に包むか段ボール箱に入れて常温保存。
割り口をよく乾燥させないと、保管中にカビが生えるので注意!

少しずつ収穫するときは

サトイモは、収穫した後はそれほど長く保存しておけない。(最適な環境で保存期間1ヶ月ほど)
冬の間に少しずつ収穫して食べたい場合は、次のようにして、掘り起こさずに畑に置いておく。
茎を刈り取り、土をかぶせ、雨が入らないようビニールをかぶせ、ワラで覆い、さらに上からビニールをかぶせておく。
温暖地であれば、これで越冬もできる。必要な時に都度掘り上げて収穫する。

種イモにするときは

次の種イモに使うなど春まで貯蔵させる場合は、貯蔵性を高めるために、十分に成熟したイモを収穫。
晩秋になって霜が1〜2回降り、茎が枯れたものを掘り上げる。
貯蔵させるものはイモを分けずにそのままの状態で、地下水の少ない畑に60cmほどの穴を掘り、もみ殻を敷き詰め、その上に小イモをつけたまま、茎から水がしみ込んで腐るのを防ぐため、株ごと下向き(子イモが上)に並べて置き、もみ殻を被せ、土で覆って山状にし、その上にワラを敷き、雨が流れ込まないようにビニールまたはトタンなどを載せる。
これで翌春まで貯蔵することができ、次の種イモに利用することもできる。

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