小カブ・カブの品種・土作り・植えつけ・肥料・収穫・病気・害虫対策を実写真でわかりやすく解説!
基本情報
日本書紀(720年)の持統7(693)年の項に、「蕪青」の栽培を五穀の助けとして奨励する記録が見られるほど、カブは、日本の野菜のなかでも、最も栽培の歴史が古いもののひとつ。
カブの根や葉にはビタミンA、B2、C、カルシウム、鉄、食物繊維が多く含まれる(特に葉に多い)。
また、根にはデンプン分解酵素のジアスターゼが多く含まれ、胃腸の働きを助ける。
カブは和、洋、中華いずれの料理にも使え、酢漬け、汁の実、煮物など多くの利用方法がある。
小カブは、15~20℃の涼しい気候を好み、真夏を避けた春と秋に種まきするが、秋まきが作りやすい。
栽培も簡単で、条(すじ)まきすれば、間引きながら小カブから中カブへと育てることもできる。
種まきから50~60日で収穫できるので、数回に分けて種を種をまくと、収穫時期がずれて長い間収穫できる。
科目 | 好pH | 連作障害 | 発芽適温 | 生育適温 | 発芽日数 | 発芽光性 | 日照 |
アブラナ科 | 5.5~7.0 | 1年以上 | 20~25℃ | 15~20℃ | 3~4日 | 好光性 | 陽性 |
コンパニオンプランツ
一緒に栽培することで互いに良い影響を与え合う植物の組み合わせをコンパニオンプランツという。
ニンジン
ともに直根性(根がまっすぐ伸びる性質)で、お互いの根が干渉しない。
カブがニンジンに集まるキアゲハを忌避させ、カブに集まるアオムシやネグサレセンチュウをニンジンが忌避する。
お互いの株どうしが触れ合う距離(5~10cm)で植えるとより効果的。
害虫が発生しやすい秋まきでは、ニンジン栽培からスタートするとアオムシの退避効果が高い。
エダマメ
カブとエダマメは根の張り方が違うため、お互いの根が干渉しない。
エダマメの根につく共生菌が作るリン酸や微量ミネラル成分をカブが吸収して生育が良くる。
また、お互いに発生する害虫に対する益虫のすみかができて、害虫の被害を軽減する効果もある。
お互いの株を30cmほど離して混植するとよい。
レタス
カブに集まるモンシロチョウやコナガは、レタスの香りで寄り付かなくなるためアオムシが発生しなくなる。
レタスに集まるアブラムシは、カブの香りが忌避する。
カブ4~5株に対してレタス1株の割合で植えつける。
お互いの株を20cmほど離して、カブを囲うようにレタスを植えると効果的。
レタスは、赤い葉のサニーレタスがよい。
モンシロチョウやコナガは「赤色」を嫌う性質がありますので、赤いサニーレタスが害虫を寄せ付けない効果を高める。
相性が悪い野菜
サツマイモとは相性が良くなく、生育が悪くなるらしい。
栽培時期
地域や品種により異なるので参考まで。(さいたま市想定)
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
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種まき~ | ~種まき | 収穫~ | ~収穫 種まき~ | 収穫~ | ~収穫 ~種まき | 収穫~ | ~収穫 |
品種
日本のカブには、ヨーロッパ型(洋種)とアジア型(和種)およびその中間型がある。
また、地方色豊かな品種が育成され、形,色,大きさなど、日本各地に独特の品種がある。
耐病ひかり
耐病性に優れ、強勢で根の太りが早く、小~中(大)カブどりの定番品種
スワン
病気に強く、小カブから形質に優れ、ス入りが遅く、中大カブまで随時とれる品種
金町小カブ
関東地方を中心に作られてきた小カブの代表品種
CRもちばな
耐病性、耐暑性に優れ、根こぶ病にとくに強い
あやめ雪
紫と白のコントラストが美しい
もものすけ
ジューシーで甘く、食感も見た目もまるで桃のよう
愛真紅3号
表皮が濃い赤色で、肉色の中心にまで赤色になる
夏小町
耐暑性、耐病性に優れる
福小町
肌が純白で肉質が柔らかく、甘味のある
京小町
とう立ちしにくい(晩抽性)で早く太る
あやめ雪
赤紫色と白色で、見た目も美しく、甘く柔らかい
本紅赤丸蕪
赤丸の色素が鮮やか
ゆるぎ赤丸蕪
滋賀県特産の赤カブ
津田蕪
上部が紫紅色、地下部が白く珍しい形で島根県特産
ウチはこの子カブ!
さいたまのアグリフェスタでもらったもの。品種は???

畑の準備
種まきの2週間以上前までに、苦土石灰2握り(約100g)とよく腐熟した堆肥約2kgを全面に散布して耕す。
1週間前に化成肥料(N:P:K=8:8:8)は2~3握り(100~150g)を施して再度耕し、幅90cmの畝を作る。
マルチはしなくてもいいが、した方が管理が楽。
種まき
種まきは、深さ1~1.5cmほどのまき溝を作り、種をスジまき。
その後、5mmほど覆土して軽く押さえ、しっかりと水やり。
条間は小カブ15cm、中カブ20~25㎝、大カブ40~50㎝。
水やり
発芽後は極端に乾燥するとき以外、水やりは不要。
間引き
種まき後3~4日で発芽するので、間引きは葉が重ならない程度に、残す株の根を傷めないように行う。
1回目を本葉1枚、2回目を本葉2~3枚、3回目を本葉5~6枚の頃。
株間は最終的に小カブでは約10cm、中カブでは15~20cm、大カブでは30~40cm程度にする。
追肥
小カブの場合は元肥のみでOK。
中・大カブでは、2回目、3回目の間引きをした後に化成肥料を軽く半握り(約20g/㎡)散布し、除草を兼ねて軽く中耕・土寄せ。
害虫
見つけたら捕殺するか殺虫剤を散布。
対策は種まき後に防虫ネットや寒冷紗をかける。
病害
うちの子カブも萎黄病に・・・


根こぶ病が発生したら治す方法がないので、抜き取って廃棄。
収穫
収穫までの日数は、種まき後、秋まきの小カブは40~50日、中カブは50~60日、大カブは60~90日。
大きさは、小カブは直径4~5cmくらい、中カブは8~10cmくらい、大カブは20~30cmくらいをおおよその目安として、根が肥大したものから間引くようにして順次収穫。
早採りしてもおいしく食べられる。
収穫が遅れると、すが入ったり裂根してしまうので、早めに収穫する。