ピーマンの品種・土作り・植えつけ・肥料・収穫・病気・害虫対策を実写真でわかりやすく解説!
基本情報
ピーマンは夏の暑さに強く、病虫害も少なくて秋まで収穫でき、栽培しやすい野菜。
カロテン(体内で一部がビタミンAになる)、ビタミンCを多く含んで栄養価が高く、ゆでたり、炒めたり、細かくきざんでサラダにしたり、和・洋・中華と応用範囲の広い野菜。
加熱すると組織がやわらかくなり、臭いも和らぐ。
赤色のピーマンは緑色と比べて栄養価が高く、健康野菜として優秀な食材。
科目 | 好pH | 連作障害 | 発芽適温 | 生育適温 | 発芽日数 | 発芽光性 | 日照 |
ナス科 | 6.0〜6.5 | 3~4年 | 25〜30℃ | 20~30℃ | 7~14日 | 嫌光性 | 陽性 |
コンパニオンプランツ
一緒に栽培することで互いに良い影響を与え合う植物の組み合わせをコンパニオンプランツという。
ニラ
ピーマンの代表的な土壌病害の「疫病」は、茎や葉っぱに暗褐色の斑点がでて、重症化すると葉や茎はしおれ、いずれ枯れてしまう。
疫病の原因は、土壌の中にある病原菌でナス科の連作によって発生しやすい。
ニラの根をピーマンの根と絡ませるように混植すると、ニラの根に共生するバークホーデリア・グラジオリーという細菌(拮抗菌)が分泌する抗生物質の働きで、土の中の病原菌を減らすという。
また、ニラ独特の香りが、ピーマンに付きやすいアブラムシなどの害虫を寄せ付けない。
ラッカセイ
ラッカセイの根に付く根粒菌の働きで、空気中の窒素が固定されて土が肥沃になり、ピーマンに適度な養分がいき、リン酸分やミネラルなどの橋渡しもする。
ほふく性のラッカセイは地面を這うようにして生長しマルチ代わりになって土を保湿し、ピーマンの根を保護する。
ピーマンは水分を好むが、ラッカセイにより土の中の水分は一定に保たれる。
また泥はねが少なくなり、病気にかかりにくくなる。
パセリ
ピーマンに付く害虫を遠ざける効果があり、草丈が高くならず横に広がるのでピーマンの株元の乾燥を防ぐ。
パセリは半日陰を好むのでお互いに生育が良くなる。
バジル(スイートバジル)
ピーマンに付くアブラムシやハダニといった害虫の他、蚊やハエも遠ざける。
またバジルは摘心して成長させていくと1mくらいの草丈となるので少し間隔を空けて植えるか、鉢植えにして位置を調整できるようにしておく。
相性が悪い野菜
キュウリなどウリ科作物全般
ピーマンに限らずナス科作物全般とウリ科作物の組み合わせは土壌中のネコブセンチュウを増やし互いに成長を妨げる。
オクラ
ナス科作物全般と混植すると、土壌中のネコブセンチュウを増やす。
栽培時期
地域や品種により異なるので参考まで。(さいたま市想定)
月 | 3 | 4 | 5 | 6 | 10 | ||||||||||
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栽培作業 | 種まき~ | ~種まき | 植えつけ~ | ~植えつけ | 収穫~ | ~収穫 |
品種
最初に、
ピーマンとカラーピーマンとパプリカの違い
ピーマンもパプリカも、どちらもトウガラシの甘味種。
ピーマンは緑色だが、これは未成熟のものを収穫しているため。
ピーマンは完熟すると赤色や黄色、オレンジなどに色付き、それがカラーピーマン。
パプリカは、カラーピーマンの中で大型で肉厚な品種のものを指す。
緑
ピーマンの中でも一般的な緑色の品種
さらら
濃い緑色で縦に細長い形をしているピーマンで、にビタミンCが多く含まれている。
ピーマン特有の青臭さが少ないので、千切りにしてサラダに入れると美味しい。
エース
濃い緑色で光沢があり、さらに食感が非常に良い。
一株から多く収穫することができる。
果肉が固めなので、ピーマンの肉詰めに向いている。
ジャンボピーマン
大きなピーマンで、ジャンピーと呼ばれる。
果肉は肉厚で食感が良く、苦味が少ない。
ヘタの部分を切り、中にミンチを詰めて焼くと、ボリュームのあるおかずに。
カラーピーマン
緑のピーマンよりも豊富にビタミン類を含んでいる。
サラダピーマン
見た目はパプリカに似ているが、ピーマンと同じ種類。
さまざまなカラーがあり、赤・黄・白・オレンジ・紫などが主流。
彩の良さを活かして、サラダに入れると見た目がよい。
赤ピーマン
パプリカに似ているが、実際は緑色のピーマンが熟成し、赤色に変化したカラーピーマン。
熟成されたことで苦味が減り、甘みが増している。
赤ピーマンを軽く焼き、オリーブオイル・塩・レモンで一晩漬けておくと、美味しいマリネになる。
パプリカ
大きなベル型、果肉が7~10mmと厚く、重さは100g以上、赤・黄色・オレンジ色と色鮮やかなもの。
青臭さがなく、甘みがありジューシー。生でもバリバリ食べられる。
2022年7月の我が家のパプリカ、ピーマン他

マラネロ
マラネロは赤色のパプリカの中では大きさが最上級で、栽培中に色付くのが早い品種。
収穫量も世界的にトップクラスで、流通量が非常に多い。
丸ごとオーブンで焼くと、甘みが増してさらに美味しい。
ジアルテ
黄色のパプリカの中では世界でトップクラスの収穫量がある品種。
果肉が肉厚で少し固く、日持ちする。
細く千切りにして豚肉と一緒に炒め、青椒肉絲にするのがおすすめ。
個性的な品種
一般的な品種とは少し異なる、個性的な品種もいくつか存在する。
フルーツピーマン
フルーツピーマンは野菜特有の青臭さや苦みが少なく、フルーツのような甘みが特徴的。
フルーツパプリカと呼ばれることもあり、赤色・オレンジ色・黄色の3種類。
生でも食べやすいので、サラダに入れるのがおすすめ。
セニョリータなどの品種がある。
バナナピーマン
トウガラシのような見た目で、市場に出回ることが少なく、家庭菜園で収穫されることが多い品種。
淡い黄緑色をしており、熟すにつれて黄色やオレンジ色、赤色に変色する。
千切りにして、ツナと一緒にサラダにすると美味しい。
パレルモ、クレセントなどの品種がある。
2022年7月の我が家のバナナピーマン

種まき
セルトレイに種をまき、発芽して本葉2枚の頃にポット上げ(4号:12cmサイズ)する。
はじめからポットにまく場合は、ポットに3粒ずつ種をまき、本葉が出た頃に間引いて1本立ちにする。
1週間ほどで発芽する。
苗が定植適期になるまで種まきから45~60日程度かかる。
ピーマン・パプリカは寒い時期に長期間の育苗が必要となり、保温等が必要で、種から育てる難易度は高い。
家庭菜園で少数の栽培であれば、市販の苗を購入するのがオススメ。
市販の苗は9cmポットに入っているものが多いので、12cmポットに移し替えて大きく育てる。
2023年種まきに挑戦したが、発芽しない!難しい・・・
畑の準備
定植の2週間以上前に苦土石灰3握り(約150g/1㎡)を全面散布して耕し、
1週間前に堆肥3~4kg、元肥として化成肥料(8:8:8)を3握り(約150g)、過リン酸石灰を軽く1握り(約30g)を施して再度耕す。
畝立ては定植予定の2~3日前に行い、地温を上げるために黒色のポリマルチをする。
ポリマルチをする時に、土が乾燥していたら先に水やりをする。
過湿にも乾燥にも弱いため、高畝にして水はけをよくしておく。
管理しやすいように畝幅70㎝ほどの1条植えで、株間は50cmほど。
植えつけ
苗が本葉13~14枚で1番花が咲き始めた頃が定植適期。
蕾が見えないような若苗は過繁茂になりやすく、1番果が着果しているような老化苗では活着不良になりやすく、初期生育が進まない。
ピーマンもパプリカも高温を好むため、晴天の午前中に定植して活着を促進させる。
苗のポットを外し、根を崩さずに浅めに植えつける。
定植の前にポットごと水につけて吸水させておくか、定植後たっぷりと水をやる。
茎が弱くて風で折れやすいので、定植と同時に仮支柱を立てて支える。
定植前に、株元にわらと一緒に石灰を施用しておくと、しりぐされ果の防止効果が高い。
支柱立て
主茎が伸びたら垂直に立てた支柱に誘引。
株ごとに高さ120〜150cmの支柱を立てて主茎を紐で固定し、さらに支柱を横に渡して補強する。
整枝・芽かき
主枝と、一番花のすぐ下で分かれる2本の側枝を伸ばし、その下のわき芽を全て摘み取って3本仕立てにする。(3本の先端は摘心せずに伸ばす。)
ピーマンの枝は弱いので、3本仕立ての各枝には必ず支柱を立てる。
株が幼いときの実を残すとそこに栄養が取られ、株全体の成長が遅くなってしまうので、一番(~3番?)花は摘み取る。
その後も、茎がV字型に2つに分かれ、その茎がまた2つに分かれて、どんどん茎をふやし、果実はその分岐点につく。
放っておくと過繁茂になり、風通しが悪く病害虫の被害を受けやすくなったり、実がつきすぎて樹が弱るので、枝を間引いたり、内側に向かって伸びる茎を摘芯して花の数を減らす。
パプリカは摘果する?
未熟果を収穫するピーマンに比べ、完熟果を収穫するパプリカは、開花から収穫までの期間が長くなるため、枝につく果実をそのまま全部付けておくと、株の負担が大きくなり過ぎる。
長期栽培に耐えられるよう、生育初期の花は摘み取ってまずは株を育てることを優先。
その後、たくさんの実が付きすぎていたら、草勢をみて必要に応じて摘果する。
追肥
定植後2~3週間たった頃に1回目の追肥を行い、その後、2~3週間おきに追肥する。
マルチのすそを上げて肥料を畝の両側の肩部にばらまき、土と混ぜるよう軽く耕してからマルチを元に戻す。
追肥は1回当たり化成肥料を1握り(約50g)。
水やり
乾燥が続くと奇形果やカルシウム不足による尻腐れ果ができるため、少雨の夏はしっかりと水やりする。(過湿にも弱いので、水やりは乾燥した時だけ。)
パプリカには雨よけ?
パプリカは実がついてから完熟して収穫できるまで1ヶ月ほどだが、その間に雨が降ると腐って実が落ちたり、痛みやすいので、雨よけ栽培にするとよい。
害虫
症状と対策はリンク先に。
ピーマンは初期生育が遅いので、ウイルス病を伝染するアブラムシなどに注意。
など
病気
症状と対策はリンク先に。
疫病?灰色かび病?炭疽病?

株に発生
など
実に発生
など
収穫
開花から15〜20日、パプリカは40〜50日で収穫適期。
枝が弱くて折れやすいのでハサミで切って収穫。
カラーピーマン、パプリカは完熟を待つ
カラーピーマン、パプリカは、ピーマン同様に最初は緑色の実をつける。
そこからさらに置いておくことで実が熟して色がつき始め、完熟して赤・黄・オレンジになるのでそれを待ってから収穫する。(これが長い!)
ちなみに、ピーマンやパプリカは、未熟でも完熟でも食用に適するため、収穫時期はいつでもよい。
このため、樹勢が弱いときは幼果まで含めて若採りし、逆に樹勢が強いときは40日以上かけて完熟させて収穫するなど、株の生育をコントロールするとよい。
赤色などに色づくまで着果させておくと株が弱ってくるので、完熟果までつけておく果実は少なめにする。
また、ピーマンもパプリカも、採り遅れると果皮のツヤがなくなり、シワが寄ってしまうので、光沢とハリのあるうちに収穫する。